第104回午後問題95

次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(65歳、男性、会社員)は、午後2時、会議の最中に急に発語しづらくなり、右上下肢に力が入らなくなったため、同僚に連れられて救急外来を受診した。既往歴に特記すべきことはない。来院時、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-3、瞳孔径は両側2.0mm。呼吸数18/分、脈拍60~80/分、不整で、血圧176/100mmHg。右上下肢に麻痺がある。午後4時、Aさんの頭部CTの所見で特に異常は認められなかったが、MRIの所見では左側頭葉に虚血性の病変が認められた。

Aさんは心原性の脳梗塞と診断され、入院後に治療が開始された。入院後5日、意識レベルがジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅱ-30まで低下した。頭部CTで出血性梗塞と脳浮腫とが認められ、気管内挿管・人工呼吸器管理を行い、マンニトールを投与してしばらく経過をみることになった。この時点の看護で適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 電気毛布で保温する。
  2. 瞳孔不同の有無を観察する。
  3. 水分出納を正のバランスに管理する。
  4. Cushing(クッシング)現象に注意する。
  5. ベッドを水平位にして安静を維持する。

正解 2,4

  1. 電気毛布で保温する。
    • 脳へ流入する血液温度が上昇するため、電気毛布での保温は適切ではない。
  2. 瞳孔不同の有無を観察する。
    • 脳ヘルニアが起こると、動眼神経圧迫により瞳孔不同と対光反射の消失がみられるため、観察が必要である。
  3. 水分出納を正のバランスに管理する。
    • 脳浮腫が認められており、水分出納を正のバランスに管理することは適切ではない。
  4. Cushing(クッシング)現象に注意する。
    • 脳圧亢進による脳幹下部の乏血状態の代償作用としてクッシング現象(徐脈、血圧上昇)が生じるため、注意が必要である。
  5. ベッドを水平位にして安静を維持する。
    • 頭蓋内圧亢進を防ぐため、ベッドは軽度挙上する。
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