第98回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題16〜40)

【問題16】 脂肪の合成を促進するのはどれか。

正解 1

  1. インスリン
    • インスリンは、グルコースの取り込みを増加させ、脂肪合成を促進する。
  2. グルカゴン
    • グルカゴンは、脂肪細胞に働きかけ、ケトン体を合成する。脂肪の分解・燃焼を促進する働きがある。
  3. アドレナリン
    • アドレナリンは、グリコーゲンを分解し、グルコースを生成する。脂肪の分解やケトン体産生を促進する。
  4. テストステロン
    • テストステロンは、男性ホルモンの一種で、男性化作用や蛋白同化作用がある。

【問題17】 オプソニン効果を生じるのはどれか。

正解 1

  1. 好中球
    • 細菌などの異物に抗体や補体が結合することで、貪食細胞の貪食作用を促進することをオプソニン効果という。好中球やマクロファージに生じる。
  2. 好塩基球
    • 好塩基球は、ヒスタミンなどの仲介物質を放出し、アレルギー反応に関与する。
  3. Tリンパ球
    • Tリンパ球は、異物細胞や異常細胞を攻撃したり、Bリンパ球の抗体産生を助ける。
  4. Bリンパ球
    • Bリンパ球は、形質細胞に分化し、抗体を産生する。

【問題18】 胎児で酸素飽和度の最も高い血液が流れているのはどれか。

正解 3

  1. 門脈
    • 門脈は、胎盤からの血流をほとんど受けないので、臍静脈よりも酸素飽和度は低い。
  2. 臍動脈
    • 臍動脈は、胎児から胎盤へ血液を運ぶので、酸素飽和度は低い。
  3. 臍静脈
    • 臍静脈は、胎盤から血液を胎児に送り込むので、胎児循環の中では最も酸素飽和度が高い。
  4. 下大静脈
    • 下大静脈は、臍静脈からの血流を受けるが、下半身からの静脈還流も受けるので、臍静脈よりも酸素飽和度は低い。

【問題19】 神経伝達物質でカテコールアミンはどれか。

正解 1

  1. ドパミン
    • ドパミンは、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンとともにカテコールアミンの一種である。
  2. セロトニン
    • セロトニンは、視床下部や大脳基底核などに分布する神経伝達物質で、セロトニン、カテコールアミン、ヒスタミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ばれる。
  3. γ-アミノ酪酸
    • γ-アミノ酪酸は、アミノ酸の一種で、脳や脊髄で働く抑制性の神経伝達物質である。
  4. アセチルコリン
    • アセチルコリンは、副交感神経や運動神経、交感神経で働く神経伝達物質である。

【問題20】 内耳とともに平衡覚に関与するのはどれか。

正解 3

  1. 聴覚
    • 聴覚と内耳の関連はあるが、平衡覚との直接的な関連はない。
  2. 嗅覚
    • 嗅覚と平衡覚との関連はない。
  3. 視覚
    • 視覚は身体の位置情報の認識に用いられ、内耳とともに平衡覚に関与する。
  4. 味覚
    • 味覚と平衡覚との関連はない。

【問題21】 血中濃度が増加したときに呼吸を促進するのはどれか。

正解 1

  1. 水素イオン
    • 水素イオンが増加すると、pHが低下し、呼吸中枢が刺激されて呼吸が促進する。
  2. 塩化物イオン
    • 塩化物イオンの増加は、呼吸に影響を与えない。
  3. 重炭酸イオン
    • 重炭酸イオンが増加すると、pHが上昇し、呼吸は抑制される。
  4. ナトリウムイオン
    • ナトリウムイオンが増加すると、浸透圧が上昇し、血圧が上昇する。呼吸促進との関連はない。

【問題22】 アンジオテンシンIIの作用はどれか。

正解 1

  1. 細動脈を収縮させる。
    • アンジオテンシンIIは、細動脈の筋肉壁を収縮させ、血圧を上昇させる。
  2. 毛細血管を拡張させる。
    • アンジオテンシンIIは、毛細血管には作用しない。
  3. レニン分泌を促進する。
    • レニンは、腎臓の傍糸球体装置から分泌され、肝臓から分泌されるアンジオテンシノーゲンに作用し、アンジオテンシンIに換える。
  4. アルドステロン分泌を抑制する。
    • アンジオテンシンIIは、副腎皮質でアルドステロンの分泌を促進する作用がある。

【問題23】 創傷治癒遅延と関連が低いのはどれか。

正解 3

  1. 貧血
    • 血流の低下によって、創傷治癒は遅延される。
  2. 高血糖
    • 細胞の免疫力低下、創部炎症の持続、コラーゲン合成阻害により創傷治癒は遅延する。
  3. 高尿酸血症
    • 高尿酸血症と創傷治癒遅延とは関連が低い。
  4. 低アルブミン血症
    • 低アルブミン血症では、コラーゲンの合成機能が低下するため、創傷治癒は遅延する。

【問題24】 転移性脳腫瘍の患者。脳の冠状断面の模式図を示す。意識はあるが、図の矢印の方向に圧がかかり始めている。この時点で最も起こりやすいのはどれか。

第98回看護師国家試験一般問題解説24

正解 2

  1. 頻脈
    • 脳幹圧迫により、徐脈を起こす。
  2. 呼吸異常
    • 頭蓋内圧の異常亢進により、脳組織が嵌入することを脳ヘルニアと呼ぶ。脳幹圧迫により、チェーンストークス呼吸や呼吸停止を起こす。
  3. 右片麻痺
    • 左大脳半球の障害の場合、右片麻痺を起こす。
  4. 血圧下降
    • 脳幹圧迫により、血圧の上昇が生じる。

【問題25】 呼吸困難を訴える患者で呼吸音に左右差を認める場合、可能性が高いのはどれか。

正解 2

  1. 肺気腫
    • 肺気腫では、肺胞間の壁が破壊され、肺全体が膨張する。
  2. 自然気胸
    • 自然気胸とは、肺の一部が破れて空気がもれ、肺が虚脱した状態をいう。多くの場合、一側性である。
  3. 間質性肺炎
    • 間質性肺炎は、肺の間質を中心に炎症が起こる、びまん性肺疾患である。
  4. 気管支喘息
    • 気管支喘息では、広範囲の可逆性気道狭窄が起こる。

【問題26】 消化管の異常とその原因の組合せで正しいのはどれか。

正解 3

  1. 麻痺性イレウス ―――― 腸捻転症
    • 腸捻転症は、腸の捻れに伴い血行障害が起こり、壊死に至るもので、複雑性(絞扼性)イレウスに分類される。麻痺性イレウスは、腸管の蠕動運動の麻痺により、腸の内容物の通過障害が起こるものである。
  2. 絞扼性イレウス ―――― 胆石発作
    • 胆石発作では、疝痛や発熱、黄疸が主な症状であり、胆石が原因で単純性イレウスが起こることがある。絞扼性イレウスは、血行障害を伴うもので、腸重積症や腸軸捻転症などで起こる。
  3. 弛緩性便秘 ―――――― 糖尿病自律神経障害
    • 糖尿病自律神経障害(糖尿病性神経障害)は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症と並ぶ、糖尿病3大合併症の一つである。自律神経障害により全身に様々な症状が出現し、消化管障害として便秘や下痢が起こる。
  4. 痙攣性便秘 ―――――― 硫酸モルヒネの内服
    • モルヒネは、μオピオイド受容体に作用するため、胃腸運動が抑制され、医原性の便秘が起こる。

【問題27】 糖尿病性ケトアシドーシスで血中濃度が低下するのはどれか。

正解 4

  1. 尿素窒素
    • 腎機能低下によって尿素窒素は上昇する。
  2. ケトン体
    • インスリン不足によって脂肪やグリコーゲンの分解が亢進し、ケトン体は上昇する。
  3. 水素イオン
    • アシドーシスによって水素イオンは上昇し、血液は酸性に傾く。
  4. 重炭酸イオン
    • 重炭酸イオンが、水素イオンと結合して酸を中和する方向に働き、消費される。したがって血中濃度は低下する。

【問題28】 体重増加をきたしやすいのはどれか。

正解 4

  1. 褐色細胞腫
    • 褐色細胞腫では、カテコールアミンの過剰分泌によって、高血圧、頭痛、発汗過多、代謝亢進、高血糖、頻脈、起立性低血圧、体重減少などが起こる。
  2. アジソン病
    • アジソン病では、副腎皮質ホルモンの分泌低下によって、全身倦怠感、体重減少、低血圧、低血糖、消化器症状、皮膚や粘膜の色素沈着などが起こる。
  3. バセドウ病
    • バセドウ病では、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって、頻脈、甲状腺腫、眼球突出、体重減少、手指振戦、発汗過多などが起こる。
  4. インスリノーマ
    • インスリノーマは、膵臓のランゲルハンス島β細胞に生じる腫瘍で、インスリンの過剰分泌によって低血糖を起こす。低血糖を補うために過食傾向となり、体重増加をきたしやすい。

【問題29】 平成18年(2006年)の我が国の65歳以上の高齢者で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 全入院患者の約5割である。
    • 全入院患者の6割を超えている。
  2. 年少人口(0〜14歳)よりも少ない。
    • 平成18年の老年人口(65歳以上)は2660万4千人で、年少人口(0〜14歳)は1743万5千人である。老年人口の方が多い。
  3. 全人口に占める割合は約15%である。
    • 平成18年の老年人口の割合は、20.8%である。
  4. 65歳以上の者のいる世帯は全世帯の約4割である。
    • 平成18年の65歳以上の者のいる世帯は1828万5千世帯で、全世帯の38.5%である。

【問題30】 平成16年度の国民医療費で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 総額は約20兆円である。
  2. 財源の約半分は公費で賄われる。
  3. 内訳は歯科診療が薬局調剤を上回っている。
  4. 前年比で国民所得の増加率を上回っている。

【問題31】 健康問題と環境要因の組合せで正しいのはどれか。

正解 1

  1. 難聴 ―――――――――― 130dB以上の音
  2. 熱中症 ――――――――― 低湿度
  3. 皮膚障害 ―――――――― 可視光線
  4. シックハウス症候群 ――― ダニ

【問題32】 ダイオキシンで正しいのはどれか。

正解 4

  1. 毒性は弱い。
  2. 水に溶けやすい。
  3. 規制する法律はない。
  4. 廃棄物の焼却で発生する。

【問題33】 平成19年4月から施行された改正保健師助産師看護師法で看護師に追加されたのはどれか。

正解 1

  1. 名称独占
  2. 業務独占
  3. 欠格事由
  4. 免許取得条件

【問題34】 国際生活機能分類(ICF)の構成要素の関連図を示す。「イ」はどれか。

第98回看護師国家試験一般問題解説34

正解 4

  1. 個人
  2. 健康
  3. 環境
  4. 活動

【問題35】 運動障害のある患者の看護計画で教育的活動に挙げられるのはどれか。

正解 3

  1. 排便時にトイレへ車椅子で移送し介助する。
  2. 床上訓練開始前に関節可動域を測定する。
  3. 床上運動の方法を介助しながら説明する。
  4. 日常生活動作の主観的な改善度を聞く。

【問題36】 左目に光を当てた時の正常な対光反射はどれか。

正解 4

第98回看護師国家試験一般問題解説36

【問題37】 呼吸パターンを模式図で示す。過呼吸はどれか。

正解 3

第98回看護師国家試験一般問題解説37

【問題38】 クリニカルパスで誤っているのはどれか。

正解 3

  1. 典型的な経過を示す疾患に用いられる。
  2. 医療者用と患者用との両方を作成する。
  3. 個々の患者の状態に応じて作成する。
  4. 標準的な治療・ケア計画を示す。

【問題39】 成人のディスポーザブル120mlグリセリン浣腸で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 液の温度を50℃に温める。
  2. カテーテルを6cm挿入する。
  3. 液を10秒かけて注入する。
  4. 注入後1分待ち排便を促す。

【問題40】 仙骨部の褥瘡の写真を示す。深達度(米国褥瘡諮問委員会NPUAPの分類)はどれか。

第98回看護師国家試験一般問題解説40

正解 2

  1. I度
  2. II度
  3. III度
  4. IV度

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