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第104回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題106〜120)

次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
 Aさん(48歳、専業主婦)は、夫と2人で暮らしている。月経周期が35〜60日と不規則となり、外来を受診した。診察時、Aさんは「一人娘が結婚して遠方に住み、私の体調不良について話しにくく、つらいです。夫とは以前はよく一緒に出かけましたが、今は仕事で忙しく、私は家にいることが多いです」と話した。

【問題106】 医師は更年期障害と診断した。診察後、Aさんは「どうしてこのような症状が出るのかしら」と看護師に尋ねた。Aさんへの説明で適切なのはどれか。

正解 3

  1. 「子宮が固くなったためです」
  2. 「卵管が狭くなったためです」
  3. 「卵巣の機能が低下したためです」
    • 更年期障害は、卵巣機能の低下によるエストロゲンの分泌低下が原因である。
  4. 「視床下部の機能が低下したためです」

【問題107】 Aさんは「汗をかきやすくイライラする以外に、どのような変化が起こりますか」と看護師に尋ねた。Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 手足が温かくなる。
    • 自律神経失調症状として冷え性がみられる。
  2. 寝つきが悪くなる。
    • 睡眠障害として、寝つきの悪さ、眠りの浅さなどがみられる。
  3. 乏尿になる。
    • 骨盤底筋の衰えや膀胱の過度の収縮、膀胱・尿道粘膜の萎縮などにより、頻尿や尿失禁がみられる。
  4. 乳房が張る。
    • 更年期障害では、肩こりや腰痛、筋肉痛などがみられる。

【問題108】 Aさんは「私はこれからどうしたらよいでしょうか。日常生活の過ごし方を教えてください」と看護師に尋ねた。看護師の対応で最も適切なのはどれか。

正解 3

  1. 「外出は控えてください」
    • 気分転換のためにも外出はした方がよい。
  2. 「家事は今までどおり頑張りましょう」
    • 「今までどおり頑張りましょう」という励ましの言葉は適切でない。
  3. 「夫と会話をする機会を増やしましょう」
    • 夫のサポートが必要であり、夫との会話の機会を増やすことを提案することは適切である。
  4. 「娘さんに週に1回遊びに来てもらいましょう」
    • 娘は遠方に住んでおり、娘に負担を強いることは適切でない。

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。妊娠28週2日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。Aさんは、身長155cm、体重56kg(非妊時体重50kg)である。

【問題109】 Aさんの観察項目で最も注意するのはどれか。

正解 4

  1. 破水
  2. 激しい腹痛
  3. 子宮底の上昇
  4. 痛みを伴わない性器出血
    • 「胎盤が内子宮口を全部覆っている」とあり、全前置胎盤である。前置胎盤における出血は、主に無痛性の外出血である。

【問題110】 その後、Aさんの妊娠経過は順調で、妊娠37週0日の午後1時から帝王切開術が予定された。手術前日の対応で最も適切なのはどれか。

正解 3

  1. 浣腸を実施する。
    • 手術当日に浣腸をすることはあるが、前日には行わない。
  2. 夕食を禁食とする。
    • 夕食を摂取した後は禁食とする。
  3. 輸血の準備を確認する。
    • 前置胎盤の帝王切開では、術中の大量出血の可能性があるため、輸血の準備を確認する。
  4. 下肢に間欠的空気圧迫装置を使用する。
    • 静脈血栓塞栓症を予防するため、術中から下肢に間欠的空気圧迫装置を使用する。

【問題111】 Aさんは、妊娠37週0日に帝王切開で体重2,800gの児を出産した。術後3日、Aさんは看護師に「どうすることもできなかったのは分かっているのですが、自然なお産をしたかったです。赤ちゃんを産んだ実感がありません」と話した。看護師の対応として最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 精神科の受診を勧める。
  2. 妊娠期からの振り返りをする。
    • 帝王切開分娩では、出産した実感が湧かないことが多い。出産を肯定的に受け止めることができるよう援助することが必要である。
  3. 次の出産で経腟分娩を試みるよう勧める。
  4. 数日前に帝王切開術を受けた褥婦に話をしてもらうよう勧める。

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、男性、大学生)は、皆が自分を嫌っていると言い、昨年から大学を休学し、1人暮らしのアパートで引きこもるようになった。先週、アパートで夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人から両親へ連絡があった。Aさんの両親がAさんの部屋に入ってみると、窓は新聞紙で覆われていた。Aさんは「1日中誰かに見張られている。あなたは親じゃない」と叫び続けるため、精神科病院に入院した。Aさんは、統合失調症と診断され非定型抗精神病薬による治療が開始された。

【問題112】 Aさんは5日目ころから日中は臥床して過ごし、夜間は熟睡するようになった。食事の時間に遅れてくることが多く、看護師の声かけにほとんど反応しない。他の患者との交流もない。この時期の看護師の対応として最も適切なのはどれか。

正解 3

  1. 食事摂取の介助をする。
    • 自力で摂取できないわけではなく、食事摂取の介助は必要ない。
  2. 作業療法への参加を促す。
    • 作業療法への参加はまだ早い。
  3. 日中の休息時間を維持する。
    • 急性期が過ぎて、陰性症状がみられている。十分な休息をとることが必要であるため、日中の休息時間は維持する。
  4. 食事時間を守るよう注意する。
    • 精神状態が不安定な時期であり、ちょっとした刺激が誘因となって急性期に逆戻りする可能性があるので、注意するのは適切でない。

【問題113】 入院後1か月。Aさんは体重が3kg増加した。バイタルサインに異常はない。血液検査データは空腹時血糖200mg/dL、HbA1c5.2%である。入院時の空腹時血糖は80mg/dLであった。Aさんと両親に特記すべき既往歴はない。Aさんにみられる非定型抗精神病薬の副作用(有害事象)で最も考えられるのはどれか。

正解 4

  1. 水中毒
    • 水中毒では、低ナトリウム血症が生じる。
  2. 拘禁反応
    • 拘禁反応は、拘束された状態が続いた場合にみられる精神障害のことである。
  3. 悪性症候群
    • 悪性症候群では、発熱、発汗、頻脈、筋固縮、振戦、流涎、無動、意識障害などの症状がみられる。特に定型抗精神病薬の副作用としてみられる。
  4. 耐糖能の異常
    • HbA1cは正常値であるにもかかわらず、空腹時血糖は入院時よりも上昇していることから、入院後に急激な高血糖が生じている。非定型抗精神病薬の副作用として、耐糖能異常が生じていると考えられる。

【問題114】 入院後2か月。症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はもう治ったのに、いつまで薬を飲まなければならないのか。薬を飲むと頭がぼんやりする。体力がなくなった気がする」と話した。Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。

正解 3

  1. 回想法
  2. 復学準備
  3. 服薬心理教育
    • Aさんは服薬に対する疑問を感じており、服薬心理教育が必要である。精神疾患の患者に対する心理教育とは、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題や諸困難に対する対処法を習得して、主体的な療養生活を営めるよう援助するものである。
  4. 筋力トレーニング

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィーで2年前に誤嚥性肺炎を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。

【問題115】 Aさんと両親への呼吸管理の説明で最も適切なのはどれか。

正解 3

  1. 鼻根の皮膚トラブルにはマスクを外す。
    • 鼻根の皮膚トラブルが生じた場合は訪問看護師に連絡する。マスクフィッティングの確認や、必要に応じてマスクの種類やサイズの変更、皮膚保護材の使用を行う。
  2. 機器が故障したときは訪問看護師に連絡する。
    • 機器が故障したときは機器メーカーに連絡する。
  3. 機器が過剰送気を示したときは回路の点検をする。
    • 機器が過剰送気を示したときは、回路の破損などがないか点検をする。
  4. 息苦しいときは非侵襲的陽圧換気の設定を変更する。
    • 息苦しいときは訪問看護師に連絡する。勝手に設定を変更してはならない。

【問題116】 退院後1週。夜間に落雷による停電が起こった。Aさんの父親から「まだ停電は続いていますが人工呼吸器は動いています。私は今から何をすればいいでしょうか」と慌てた様子で訪問看護師に電話があった。この時点の訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 「救急車で病院に行きましょう」
  2. 「主治医に連絡をとりましょう」
  3. 「用手換気に切り替えましょう」
  4. 「主電源を外部バッテリーに切り替えましょう」
    • 停電は続いているが人工呼吸器は動いていることから、現在は内部バッテリーにより駆動している。内部バッテリーでは長時間駆動できないので、外部バッテリーに切り替える。

【問題117】 退院後6か月。Aさんは特別支援学校に通学している。弟の小学校でインフルエンザが例年より早い時期から流行し始めた。弟はインフルエンザの予防接種を受けていた。Aさんの母親は「Aにインフルエンザがうつらないか心配です」と訪問看護師に話した。母親への訪問看護師の助言として最も適切なのはどれか。

正解 3

  1. 「Aさんを隔離しましょう」
  2. 「ショートステイを利用してみましょう」
  3. 「予防接種について主治医に相談してみましょう」
    • インフルエンザの予防接種は罹患を完全に防げるものではないが、罹患率の低下は期待できるので、予防接種について主治医に相談する。
  4. 「弟さんは予防接種を受けているのでAさんにはうつりませんよ」

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 山間部の地域で、1時間雨量80mm以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。

【問題118】 発災直後の避難所で対応する看護師の行動で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. ボランティアを手配する。
  2. 災害給付金の説明をする。
  3. 心のケアに時間をかける。
  4. 重症度に応じて診療の優先順位をつける。
    • 負傷者を重症度や緊急度によって分類し、治療や搬送の優先順位を決める。

【問題119】 土石流で家を失った被災者は市民体育館から仮設住宅へ移動した。仮設住宅には1人暮らしの世帯が多い。看護師が仮設住宅の巡回訪問を行うことになった。災害の慢性期(復興期)の看護師の巡回訪問の主な目的として適切でないのはどれか。

正解 2

  1. 感染症を予防する。
    • 不十分な環境や抵抗力の低下などによって、感染症を発症しやすくなるため、感染予防が重要である。
  2. 救援物資を届ける。
    • 救援物資を届けることは、看護師の巡回訪問の目的ではない。
  3. 室内の安全性を確認する。
    • 室内の安全性を確認し、高齢者の転倒防止などに努める。
  4. 生活習慣病の重症化を予防する。
    • 栄養の偏り、運動不足、ストレスなどによって生活習慣病の悪化の恐れがあるので、重症化の予防が必要である。

【問題120】 看護師のAさんは、土石流の発生直後から被災地に1か月派遣された。その後、病院に戻り3か月が経過した。Aさんは勤務中に表情が乏しく考え込む様子がみられた。Aさんへの看護管理者の対応として最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 忙しい部署に異動させる。
  2. 仕事に専念するよう伝える。
  3. すぐに忘れるものだと励ます。
  4. 体験を語ることができる場を設ける。
    • 活動中に体験したことや感じたこと、現在の感情を分かち合う場を設ける。信頼し安心できる環境で、体験をありのままに語ることは、ストレスの軽減につながる。

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