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第102回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題49〜68)

【問題49】 甲状腺癌のために甲状腺全摘術と頸部リンパ節郭清術とを受けた患者の術後管理で正しいのはどれか。

正解 3

  1. 甲状腺クリーゼの観察をする。
    • 甲状腺クリーゼは、感染症などがきっかけで甲状腺機能亢進症が極めて重症になり、高熱・意識障害などを伴うものである。甲状腺機能亢進症の術後では甲状腺クリーゼに注意する。
  2. 嗄声のある間は経口摂取を禁止する。
    • 術後の反回神経麻痺によって嗄声がみられる。多くは一過性のため、経口摂取を禁止する必要はなく、嚥下障害に注意して食事を進める。
  3. ドレーンからの乳び漏の有無を観察する。
    • リンパ節郭清を広範囲に行った場合、合併症として乳び漏(白色のリンパ液の漏出)を起こすことがある。
  4. テタニーが生じた場合は副甲状腺ホルモンを補充する。
    • テタニーは低カルシウム血症によるものなので、カルシウムを補充する。

【問題50】 肝硬変で皮下出血、腹水貯留および手指の振戦がある患者に対する食事で適切なのはどれか。

正解 4

  1. 高蛋白食
  2. 高脂肪食
  3. 低残渣食
  4. 塩分制限食
    • 腹水貯留がみられるため、塩分を制限する。また、肝性脳症の症状である振戦がみられるため、低蛋白食とする。

【問題51】 右乳癌のために胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術とを受けた患者。呼吸循環機能は安定しており、右腋窩部と乳房皮下とにドレーンが挿入されている。
術後1日の看護で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 右側臥位を勧める。
  2. 右肘関節の回内・回外運動を勧める。
    • リンパ還流の阻害によってリンパ貯留が起こると、上肢に浮腫が出現する。予防のため、右肘関節の回内・回外運動を行う。
  3. 右上肢の中枢から末梢に向かってマッサージをする。
  4. 右上肢の前方挙上は術後10日間行わないよう指導する。

【問題52】 Aさんは、特定の相手に対して「とても尊敬しています」と過度に好意を示すこともあれば「あなたは最低だ。嫌い」と嫌悪感を同時に訴えることもある。
Aさんに現れている現象はどれか。

正解 3

  1. 否認
    • 否認は、アルコール依存症で多くみられる。
  2. 逆転移
    • 逆転移とは、分析者の側が被分析者に対して個人的な感情を向けたり、私的な反応をすることをいう。
  3. アンビバレンス(両価性)
    • アンビバレンスとは、同一の対象に対して、愛と憎しみなどの相反する感情を同時に抱く状態をいう。
  4. エディプスコンプレックス
    • エディプスコンプレックスとは、子どもが異性の親に対して思慕を抱き、同性の親に敵意や対抗心を感じる無意識の傾向をいう。

【問題53】 Asperger(アスペルガー)症候群について正しいのはどれか。

正解 4

  1. 女性に多い。
    • アスペルガー症候群は男性に多い。
  2. 出生時に診断される。
    • アスペルガー症候群は先天性の脳機能障害とされているが、出生時に診断されるものではない。
  3. 自我障害が特徴である。
    • 自我障害は統合失調症でみられる。
  4. 知的能力の発達は保たれる。
    • アスペルガー症候群は知的障害は伴わない。

【問題54】 精神疾患の患者に対する心理教育について正しいのはどれか。

正解 3

  1. 精神分析を実施する。
  2. 家族関係が疾患の原因であることを説明する。
  3. 症状が悪化するときのサインに気づけるよう指導する。
    • 心理教育とは、精神障害などの問題を抱える人たちに対し、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題や諸困難に対する対処法を習得して、主体的な療養生活を営めるよう援助するものである。
  4. 状態に合わせて服薬量を自分で増減する方法を説明する。

【問題55】 電気けいれん療法の適応となるのはどれか。

正解 2

  1. 失見当識
  2. 重症うつ病
    • 電気けいれん療法の適応となる疾患は、うつ病、躁うつ病、統合失調症などである。
  3. 悪性症候群
  4. Parkinson(パーキンソン)病

【問題56】 Aさん(42歳、男性)、会社員。うつ病で自殺企図のために入院した。外傷はない。入院時に看護師が「大変でしたね」と声をかけたが、Aさんは一言も話そうとせず、硬い表情をしている。
この時点でのAさんへの対応で適切なのはどれか。

正解 4

  1. 「気分転換にお散歩に行きませんか」
  2. 「今夜は多床室で休んでいただきます」
  3. 「仕事が合わないのではありませんか」
  4. 「持ち物を一緒に確認させていただけますか」
    • 自殺企図のために入院しており、安全のため持ち物を確認する。

【問題57】 訪問看護の利用者の特徴として正しいのはどれか。

正解 3

  1. 年齢は65〜69歳が最も多い。
    • 年齢は80〜89歳が最も多い。
  2. 要介護度は要支援2が最も多い。
    • 要介護度は要支援5が最も多い。
  3. 脳血管疾患を含む循環器系疾患が最も多い。
    • 傷病別では循環器系疾患が最も多い。
  4. 介護保険よりも医療保険によるサービス受給者が多い。
    • 医療保険よりも介護保険によるサービス受給者の方が多い。

【問題58】 退院調整部署と連携しながら、ある患者の退院支援を進めることになった。病棟看護師が行う支援として最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 経済問題への対応
  2. 患者の希望の聴取
    • 患者や家族の希望を尊重して支援を行っていく。
  3. 介護保険制度の説明
  4. 在宅のケアプラン立案

【問題59】 要介護認定者が訪問看護を受ける際、医療保険から給付される疾病または状態はどれか。

正解 3

  1. 関節リウマチ
  2. 在宅酸素療法を受けている状態
  3. 人工呼吸器を使用している状態
    • 末期の悪性腫瘍および厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や急性増悪期で特別訪問看護指示書の交付がある場合は、医療保険適用となる。人工呼吸器を使用している状態は、厚生労働大臣が定める疾病等に該当するため、医療保険適用である。
  4. 全身性エリテマトーデス(SLE)

【問題60】 Aさんは在宅療養をしており、皮下埋め込み式ポートから高カロリー輸液を間欠的に注入している。訪問看護師がAさんに行う日常生活の指導内容として適切なのはどれか。

正解 4

  1. 穿刺針の固定は不要である。
    • 穿刺針は固定する。
  2. 抜針した当日の入浴はできない。
    • 入浴は可能である。
  3. 穿刺針は一般廃棄物として処理する。
    • 穿刺針は医療機関へ返却する。
  4. 刺入部の発赤を認めた場合は訪問看護師に連絡する。
    • 発赤や腫脹、疼痛などは感染徴候であり、認めた場合は訪問看護師に連絡する。

【問題61】 ハヴィガースト, R. J.の老年期における発達課題として正しいのはどれか。

正解 3

  1. 子どもを独立させる。
  2. 満足できる収入を得る。
  3. 配偶者の死に適応する。
    • ハヴィガーストは、老年期における発達課題として
      ・肉体的な強さと健康の衰退への適応
      ・引退と収入の減少への適応
      ・配偶者の死への適応
      ・同年代の人々との明るい親密な関係の確立
      ・社会的、市民的義務の引き受け
      ・肉体的に満足な生活を送る為の準備
      を挙げている。
  4. 異世代の人と親密な関係を結ぶ。

【問題62】 加齢に伴う呼吸循環機能の変化について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 残気量は変化しない。
    • 加齢に伴い残気量は増加する。
  2. 肺の弾性は低下する。
    • 加齢に伴い肺の弾力性は低下する。
  3. 左心室壁は薄くなる。
    • 加齢に伴い心室壁は厚くなる。
  4. 安静時の心拍出量は増加する。
    • 加齢に伴い心拍出量(主に運動負荷時の心拍出量)は低下する。

【問題63】 96歳の女性。要支援2の認定を受け、介護予防通所介護を利用している。援助として適切なのはどれか。

正解 4

  1. 入浴は特殊浴槽を使用する。
  2. 排泄時には援助者が下着を脱がせる。
  3. 椅子に座るときには安全ベルトを使用する。
  4. 運動を取り入れたレクリエーションへの参加を促す。
    • 介護予防通所介護では、自立した生活を営めるよう、本人のできることはできる限り本人が行う。また、レクリエーションや創作活動などの機能訓練を行うことができる。

【問題64】 高齢者に多い弛緩性便秘の原因で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 長期臥床
    • 長期臥床による筋力低下によって、腸の蠕動運動が低下し、弛緩性便秘となる。
  2. 便意の我慢
  3. 腸管内の炎症
  4. 下行結腸の蠕動亢進

【問題65】 介護保険施設においてノロウイルス感染症が発生した。感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。

正解 4

  1. 感染者の居室はアルコールで拭く。
    • アルコールでは不活化されない。
  2. 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
    • 乾燥すると飛沫核となって空気中に舞い上がるので、その前に処理する。嘔吐物凝固剤で凝固させてから処理すると良い。
  3. 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
    • リネン類は下洗いした後、85℃・1分間以上の加熱処理により消毒する。もしくは次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
  4. 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
    • 感染者が使用した食器は、厨房に戻す前、食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液(200ppm)に十分浸し、消毒する。

【問題66】 大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭置換術の術後1週以内における看護で適切なのはどれか。

正解 4

  1. 手術当日に全身清拭は行わない。
    • 手術当日の全身清拭は行ってよい。
  2. 術後初めての食事は全介助で行う。
    • 少し頭部を上げ、自力で摂取する。
  3. 患肢の他動運動は術後3日から行う。
    • 手術翌日から少しずつ他動運動を行う。
  4. 臥床時は患肢を外転中間位に保持する。
    • 脱臼予防のため、臥床時は外転枕を使用して患肢を外転中間位に保持する。

【問題67】 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)について正しいのはどれか。

正解 3

  1. 20人の生活単位を基本とする。
    • 生活単位は9名以下である。
  2. 看護職員の配置が義務づけられている。
    • 看護職員の配置は義務づけられていない。
  3. 介護保険制度における地域密着型サービスである。
    • 介護保険制度における地域密着型サービスの1つである。地域密着型サービスとは、高齢者が身近な地域で生活を継続できるようにするためのサービスである。
  4. 連続して利用できる期間は原則3か月以内である。
    • 利用期間に制限はない。

【問題68】 出生前診断のための羊水検査について適切なのはどれか。

正解 1

  1. 検査がもたらす母児への影響を事前に説明する。
    • 羊水検査には、破水、出血、子宮内感染、胎児死亡、流早産などのリスクがある。これらを事前に説明した上で、検査を受けるかどうか夫婦で話し合って決定する。また、検査結果は正確に伝える。
  2. 胎児に染色体異常が発見された場合は結果を知らせない。
  3. 夫婦の意見が対立した場合は夫の意見を優先する。
  4. 妊婦の母親から問い合わせがあった場合は検査結果を伝える。

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