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第102回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題26〜48)

【問題26】 中耳にあるのはどれか。

正解 4

  1. 前庭
    • 前庭は内耳にある。前庭には、平衡覚を受ける平衡斑があり、重力と直線加速度を感知する。
  2. 蝸牛
    • 蝸牛は内耳にある。聴覚を司っており、蝸牛の中の有毛細胞が振動を電気信号に変換し、蝸牛神経を介して中枢へ伝達する。
  3. 半規管
    • 半規管は内耳にある。内腔を満たすリンパ液の動きにより、回転加速度を感知する。
  4. 耳小骨
    • 耳小骨は中耳にある。槌(つち)骨・砧(きぬた)骨・鐙(あぶみ)骨の三骨から成り、音の振動を鼓膜から内耳へ伝達する。

【問題27】 脂肪を乳化するのはどれか。

正解 1

  1. 胆汁酸塩
    • 胆汁酸塩は、タウリンやグリシンの抱合を受けた胆汁酸のナトリウム塩あるいはカリウム塩である。強い界面活性作用があり、十二指腸での脂肪の乳化を促進する。
  2. トリプシン
    • トリプシンは、膵液に含まれる、蛋白質分解酵素の一種である。
  3. ビリルビン
    • ビリルビンは、赤血球の崩壊により遊離したヘモグロビンからつくられる胆汁色素である。
  4. リパーゼ
    • リパーゼは、胃液や膵液、腸液に含まれる消化酵素で、脂肪を加水分解し、脂肪酸とグリセリンを生成する。

【問題28】 高血圧性脳出血で最も頻度の高い出血部位はどれか。

正解 1

  1. 被殻
    • 高血圧性脳出血の出血部位は、被殻出血が全体の約40%で最も頻度が高い。大脳基底核部の出血(被殻と視床)が全体の70%以上を占める。
  2. 視床
    • 視床出血は全体の約30%で、被殻出血に次いで頻度が高い。
  3. 小脳
    • 小脳出血は全体の約10%である。
    • 橋出血は全体の約10%である。

【問題29】 酸塩基平衡の異常と原因の組合せで正しいのはどれか。

正解 3

  1. 代謝性アルカローシス ―― 下痢
    • 下痢では、腸液の喪失によって、代謝性アシドーシスとなる。
  2. 代謝性アシドーシス ―― 嘔吐
    • 嘔吐では、胃液の喪失によって、代謝性アルカローシスとなる。
  3. 代謝性アシドーシス ―― 慢性腎不全
    • 慢性腎不全では、尿細管機能低下によって、重炭酸イオンの再吸収障害、水素イオンの排泄障害が起こる。重炭酸イオンの減少、水素イオンの増加によって、血液が酸性に傾き、代謝性アシドーシスを起こしやすい。
  4. 呼吸性アシドーシス ―― 過換気症候群
    • 過換気症候群では、二酸化炭素の過剰な排泄によって、呼吸性アルカローシスをきたす。

【問題30】 母乳が主な感染経路となるのはどれか。

正解 1

  1. 成人T細胞白血病(ATL)ウイルス
    • 成人T細胞白血病(ATL)は、白血病・リンパ腫の一種で、レトロウイルスであるHTLV-I感染を原因とする。主な感染経路は、母乳を介した母子感染である。
  2. 単純ヘルペスウイルス(HSV)
    • 単純ヘルペスウイルスには、HSV-1とHSV-2の2つの型が存在する。1型は三叉神経節に潜伏し、主に接触感染によって口唇ヘルペスなどが生じる。2型は仙髄神経節に潜伏し、主に性行為感染によって性器ヘルペスなどが生じる。母子感染では、主に経産道感染である。
  3. サイトメガロウイルス
    • サイトメガロウイルスは、通常乳幼児期に唾液を介する飛沫感染、接触感染によって感染し、多くは不顕性感染である。母子感染では、主に経胎盤感染であり、その他、産道や母乳を介する感染も認められている。
  4. 風疹ウイルス
    • 風疹ウイルスの主な感染経路は、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染である。母子感染では、主に経胎盤感染である。

【問題31】 日本の平成21年(2009年)における人口の動向について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 年少人口の構成割合は20%台である。
    • 平成21年10月1日現在における年少人口の構成割合は、13.3%である。
  2. 老年人口の構成割合は20%台である。
    • 平成21年10月1日現在における老年人口の構成割合は、22.7%である。
  3. 従属人口指数は70台である。
    • 平成21年10月1日現在における従属人口指数(生産年齢人口に対して占める年少人口及び老年人口の割合)は、56.5である。
  4. 老年化指数は180台である。
    • 平成21年10月1日現在における老年化指数(年少人口に対して占める老年人口の割合)は、170.4である。

【問題32】 同じ問題や悩みを抱えた人々が助け合う活動はどれか。

正解 2

  1. ケースワーク
    • ケースワークとは、精神的・身体的・社会的な生活上の問題を抱えて援助を必要としている個人や家族に対して、問題の解決を図るために行う個別援助技術である。
  2. ピアサポート
    • ピアサポートとは、同じ問題や悩み、障害、境遇、体験を持つ者同士が助け合う活動のことである。
  3. コミュニティワーク
    • コミュニティワークとは、地域社会に共通する生活ニーズや生活課題に基づき、地域の人が主体となって問題解決できるよう、福祉サービスの整備や連絡・調整などを行う援助技術である。
  4. コンサルテーション
    • コンサルテーションとは、問題を解決する際に、他分野の専門家を活用することである。

【問題33】 社会保険と根拠となる法律の組合せで正しいのはどれか。

正解 1

  1. 医療保険 ―― 健康保険法
    • 健康保険法に基づいている。
  2. 年金保険 ―― 老人福祉法
    • 厚生年金保険法に基づいている。
  3. 雇用保険 ―― 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
    • 雇用保険法に基づいている。
  4. 労働者災害補償保険 ―― 労働基準法
    • 労働者災害補償保険法に基づいている。

【問題34】 法律によって医療費の公費負担が認められる疾患はどれか。

正解 4

  1. Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病
    • 特定疾患治療研究事業の対象であり、医療費の公費負担があるが、法律に基づくものではない。
  2. サルコイドーシス
    • 特定疾患治療研究事業の対象であり、医療費の公費負担があるが、法律に基づくものではない。
  3. 劇症肝炎
    • 特定疾患治療研究事業の対象であり、医療費の公費負担があるが、法律に基づくものではない。
  4. 肺結核
    • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づき、医療費の公費負担が認められている。

【問題35】 健康日本21でたばこ対策として取り組んでいる目標はどれか。

正解 2

  1. 禁煙外来受診者の増加
  2. 公共の場での分煙の徹底
    • 健康日本21では、たばこ対策として
      ・喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及
      ・未成年者の喫煙をなくす
      ・公共の場及び職場における分煙の徹底及び効果の高い分煙に関する知識の普及
      ・禁煙支援プログラムの普及
      を目標として掲げている。
  3. 育児中の母親の喫煙の減少
  4. 喫煙が及ぼす社会的影響についての知識の普及

【問題36】 看護計画における看護上の問題について適切なのはどれか。

正解 4

  1. 医師と共有しない。
    • 医師と情報を共有して、問題解決にあたる。
  2. 原因は1つに絞る。
    • 原因が1つとは限らないので、1つに絞る必要はない。
  3. 退院するまで変更しない。
    • 患者の状態によって臨機応変に変更する必要がある。
  4. 原因が不明な事象も問題とする。
    • 原因が不明な事象も問題となる。

【問題37】 看護記録の内容で適切でないのはどれか。

正解 4

  1. 患者の訴えたこと
  2. 実施したケアの内容
  3. ケア後の患者の変化
  4. ケア後の看護師の感想
    • 看護記録には、患者の訴えや状態、看護行為の目的や必要性の判断、実施したケアの内容などを記載する。看護師の個人的見解や感想を記載することは適切ではない。

【問題38】 医療法施行規則で規定されているのはどれか。

正解 4

  1. 病室の室温
  2. 病室の照度
  3. ベッドの高さ
  4. 1床あたりの床面積
    • 医療法施行規則では、構造設備の基準として、1床あたりの床面積や病室に隣接する廊下の幅などに関する規定が設けられている。

【問題39】 Aさん(50歳、男性)は、心筋梗塞で病院に緊急搬送されたが、2時間後に死亡した。Aさんの家族は突然の出来事で混乱している。
Aさんの家族への対応で最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 死後の処置への家族の同席を断る。
  2. Aさんと家族だけの時間をつくる。
    • 家族が十分悲嘆できる時間を確保することが適切である。
  3. Aさんの死についての話題は避ける。
  4. 心筋梗塞による死亡は多いと慰める。

【問題40】 入院中の患者における中心静脈栄養法(IVH)の管理で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 刺入部は毎日消毒する。
    • 刺入部の定期消毒は週1〜2回行い、入浴後やドレッシング材が汚染した場合などはその都度消毒する。
  2. 定期的に血糖値を確認する。
    • 中心静脈栄養法では、高濃度の糖を含む輸液が投与されるため、高血糖状態が維持される。定期的に血糖値や尿糖値を確認し、糖代謝異常に注意する。
  3. カテーテルの刺入部は見えないように覆う。
    • 状態を観察しやすいように、刺入部は透明フィルムドレッシング材で固定する。
  4. 輸液セットはカテーテルを抜去するまで交換しない。
    • 輸液セットは定期的(週2回を目安)に交換する。

【問題41】 水封式持続吸引法による胸腔ドレナージについて正しいのはどれか。

正解 2

  1. ドレーンの回路は開放式である。
    • ドレーンの回路は閉鎖式である。
  2. 水封室の水面は呼吸に伴って上下に動く。
    • 呼吸に伴って水封室の水面が上下動する(呼吸性移動という)のをみて胸腔内圧を確認することができる。呼吸性移動の有無やエアリークの有無を観察し、回路の異常やドレーンの閉塞がないかをチェックする。
  3. 吸引圧は−50〜−100cmH2Oに調整する。
    • 吸引圧は−10〜−15cmH2Oに調整する。
  4. ドレーンバッグは挿入部よりも高く設置する。
    • 逆行性感染を防ぐために、ドレーンバッグは挿入部よりも低い位置に設置する。

【問題42】 7時から翌朝7時までの24時間尿を採取する方法として正しいのはどれか。

正解 4

  1. 7時に排尿した尿から蓄尿を始める。
  2. 排便時に出た尿は蓄尿しない。
  3. 翌朝7時に出た尿は蓄尿しない。
  4. 24時間の全尿の一部を採取する。
    • 24時間尿を採取する場合は、最初に排尿した分は捨て、それ以降の尿をすべて蓄尿する。排便時に出た尿も蓄尿し、最後(24時間後)の尿を含めて24時間尿とする。

【問題43】 健常な人の瞳孔を図に示す。右眼に光を当てたときの正常な対光反射はどれか。

第102回看護師国家試験一般問題解説43図

正解 3

  1. 第102回看護師国家試験一般問題解説43図1
  2. 第102回看護師国家試験一般問題解説43図2
  3. 第102回看護師国家試験一般問題解説43図3
    • 片眼だけに光を当てても、両眼の瞳孔が収縮する。光を当てた側の対光反射を直接対光反射、反対側の対光反射を間接対光反射という。
  4. 第102回看護師国家試験一般問題解説43図4

【問題44】 成人の学習の特徴として正しいのはどれか。

正解 1

  1. 学習者のこれまでの経験が資源となる。
    • 成人の学習では、学習者のこれまでの経験が有用な学習資源となる。
  2. 外的動機づけによって学習が促進される。
    • 内的動機づけによって学習が促進される。
  3. 自己評価よりも他者による評価が重要である。
    • 自己評価が重要である。
  4. 課題中心の学習よりも講義形式による学習の方が効果が高い。
    • 課題中心の学習の方が効果が高い。

【問題45】 術前の検査値で創傷治癒の遅延因子となるのはどれか。

正解 1

  1. 血清アルブミン低値
    • アルブミン低値では、コラーゲンの合成が抑制されるため、創傷治癒が遅延する。
  2. 血清総ビリルビン低値
  3. 糸球体濾過値(GFR)高値
  4. 動脈血酸素分圧(PaO2)高値

【問題46】 乳癌に対する乳房温存手術後の放射線治療を受ける患者への説明で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 放射線肺炎のリスクがある。
    • 放射線治療後数か月から数年経って、放射線肺炎を起こす可能性がある。
  2. 対側の乳癌の予防が目的である。
    • 乳房温存手術後の放射線治療は、再発予防のために行う。
  3. 治療期間中はブラジャーの使用を避ける。
    • 肌を締め付けるものは避け、柔軟で肌触りがよく、刺激が少ない素材の下着を使用する。
  4. 治療期間中はマーキングした部位を洗わない。
    • 入浴は可能であるが、マーキングが消えないよう、強くこすらずに軽く洗浄する。

【問題47】 緩和ケアについて正しいのはどれか。

正解 2

  1. 患者の家族は対象に含まない。
    • 患者の家族も対象に含まれる。
  2. ケア計画は多職種が話し合って立案する。
    • 緩和ケアは、多職種が連携したチーム医療によって行われる。
  3. 疼痛コントロールの第一選択はモルヒネである。
    • WHOの3段階の除痛ラダーでは、痛みの強さに応じて各段階で使用される鎮痛薬が決められている。第一段階は非オピオイド鎮痛薬、第二段階は弱オピオイド鎮痛薬、第三段階は強オピオイド鎮痛薬で、モルヒネは通常強オピオイド鎮痛薬の第一選択薬として使用される。
  4. 根治的な治療法がないと医師が説明したときから始める。
    • 診断時から治療と並行して行われる。

【問題48】 気管支喘息に対する副腎皮質ステロイドの吸入療法について正しいのはどれか。

正解 1

  1. 副作用は内服より少ない。
    • 吸入療法では、薬剤が直接気管支に沈着して作用するため、全身への副作用は内服よりも少ない。
  2. 吸入後に含嗽はしない。
    • カンジダ症を予防するため、吸入後に含嗽をする。
  3. 食後の吸入が食前より効果的である。
    • 食前後で効果の差はない。
  4. 吸い込むタイミングで効果に差はない。
    • 正しく吸入しないと、良い効果が発揮されない。

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