第95回国家試験必修問題解説
【問題1】 平成20年の男性の悪性新生物死亡数で最も多い部位はどれか。
正解 1
悪性新生物による死亡で、どの部位の死亡が多いかを覚えておく必要がある。
- 肺
- 人口動態統計月報年計(概数)の概況における平成20年(2008年)の肺の悪性新生物の死亡数は、男性48,612人、女性18,235人である。
- 胃
- 人口動態統計月報年計(概数)の概況における平成20年(2008年)の胃の悪性新生物の死亡数は、男性32,953人、女性17,182人である。
- 肝
- 人口動態統計月報年計(概数)の概況における平成20年(2008年)の肝の悪性新生物の死亡数は、男性22,329人、女性11,331人である。
- 大腸
- 人口動態統計月報年計(概数)の概況における平成20年(2008年)の大腸の悪性新生物の死亡数は、男性23,409人、女性19,589人である。
正解 3
生体リズムの周期には様々なものがある。
- 90分
- 睡眠と覚醒の約90分の周期をウルトラディアンリズム(超日リズム)という。
- 12時間
- 眠気リズム等の約半日周期のリズムをサーカセメディアンリズム(概半日リズム)という。
- 24時間
- 生物にみられる生理活動や行動の1日のサイクルをサーカディアンリズム(概日リズム)という。
- 28日
- 女性の月経周期等の約1か月のサイクルをサーカルーナリズムという。
正解 1
医療保険制度についての問題。
- 健康診断は給付対象外である。
- 医療保険の給付事由は疾病、休業、死亡等であり、健康診断は給付対象外である。
- 高額療養費は医療給付に含まれない。
- 1か月の医療費の自己負担額が高額となった場合に、自己負担限度額を超えた部分が払い戻される高額療養費は、医療給付に含まれる。
- 国民健康保険の保険者は国である。
- 国民健康保険の保険者は、原則として東京23区を含む市町村である。
- 医療給付は現金給付が原則である。
- 医療給付は、原則として診察や検査、投薬、入院等の現物給付である。
【問題4】 保健師助産師看護師法に定められている看護師の義務はどれか。
正解 4
「保健師助産師看護師法(保助看法)」の内容をよく理解しておく必要がある。
- 関係機関との連携
- 関係機関との連携は大切なことであるが、保健師助産師看護師法には定められていない。
- 記録の保存
- 看護記録の2年間の保存は医療法によって義務付けられているが、保健師助産師看護師法には定められていない。
- 結果発生の予見
- どのような結果が発生するのか予見することは重要であるが、保健師助産師看護師法には定められていない。
- 秘密の保持
- 保健師、看護師または准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
【問題5】 自分の可能性を最高に発揮したいと願う社会的欲求はどれか。
正解 4
マズローの欲求段階についての問題。
- 承認
- 承認の欲求とは、自分の存在や価値を他者に認めてほしいという欲求である。マズローの欲求段階は第4段階であり、自尊の欲求に含まれる。
- 愛と帰属
- 愛と帰属の欲求とは、友人や家族など周囲の人々と関わりたいという欲求である。マズローの欲求段階は第3段階である。
- 自尊
- 自尊の欲求とは、他者から認められたい、尊敬されたいという欲求である。マズローの欲求段階は第4段階である。
- 自己実現
- 自己実現の欲求とは、自分の能力や可能性を最大限発揮したいという欲求である。マズローの欲求段階は最高位の第5段階である。
【問題6】 キューブラ・ロスによる死にゆく人の心理過程で第1段階はどれか。
正解 3
キューブラ・ロスは著書「死ぬ瞬間」の中で、死への5つの心理過程(否認、怒り、取引、抑うつ、受容)を発表している。
- 死なねばならないことへの怒り
- 第2段階である。なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける。
- 延命のための取り引き
- 第3段階である。なんとか死なずに済むように取引をしようと試みる。何かにすがろうとする心理状態である。
- 死を認めようとしない否認
- 第1段階である。自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑い、現実であることを受け止めることができない状態である。
- 死の恐怖や不安による抑うつ
- 第4段階である。病気に対する自覚が高まり、喪失感が増す。愛する人々との別れや死への恐怖などから抑うつ状態になる。
【問題7】 日本版デンバー式発達スクリーニング検査で90%の乳児の首がすわる月齢基準はどれか。
正解 2
小児の運動発達を理解していれば解ける問題である。
- 2か月
- 2か月では首がすわっていない。
- 4か月
- 首がすわるのは3〜4か月である。
- 6か月
- 6か月は寝返りができる時期である。
- 8か月
- 8か月はお座りやつかまり立ちができる時期である。
正解 3
乳歯は生後6〜7か月頃から生え始め、2歳半〜3歳頃に上下10本、計20本が生え揃う。。
- 6か月
- 乳歯は生後6〜7か月頃、下顎乳中切歯から生え始める。
- 1歳6か月
- 1歳6か月は乳犬歯が生える時期である。
- 2歳6か月
- 2歳半〜3歳頃に上下10本、計20本の乳歯列が完成する。
- 6歳
- 6歳は永久歯に生え変わる時期である。
【問題9】 地域保健法に基づく保健所の事業で誤っているのはどれか。
正解 4
地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所や市町村保健センターについての事項が定められている。
- 環境衛生
- 住宅、上下水道、廃棄物処理、清掃、その他環境衛生に関する事業は、保健所の事業として定められている。
- 健康増進
- 地域住民の健康の保持・増進は、保健所の事業として定められている。
- 疫病予防
- AIDS、結核、性病、伝染病、その他疫病予防に関する事業は、保健所の事業として定められている。
- 要介護認定
- 要介護認定は、市町村に設置される介護認定審査会によって行われる。
正解 4
交感神経はエネルギーを発散するように働き、副交感神経は体にエネルギーを蓄える。
- 瞳孔の収縮
- 交感神経が緊張すると瞳孔は散大し,副交感神経が緊張すると収縮する。
- 気管支の収縮
- 気道は交感神経刺激で拡張し,副交感神経では収縮する。
- 心拍数の減少
- 交感神経は心拍数を増加させ、副交感神経は心拍数を減少させる。
- 末梢血管の収縮
- 末梢血管は交感神経によって収縮し、副交感神経によって拡張する。
【問題11】 部位と流れる血液との組合せで正しいのはどれか。
正解 4
体循環、肺循環の流れは基本的なことなのでしっかり把握しておく必要がある。
- 肺動脈―動脈血
- 肺動脈は心臓から肺へ血液を送る血管であり、静脈血を運ぶ。
- 肺静脈―静脈血
- 肺静脈は肺から心臓に戻る血管のことであり、肺で酸素を補給された動脈血が通る。
- 右心房―動脈血
- 右心房は大静脈から静脈血を受け、右心室へ送る。
- 左心室―動脈血
- 左心室は左心房から受けた動脈血を大動脈に送り循環させる。
正解 1
水欠乏性脱水はナトリウムに比べて水の喪失が多い場合である。
- 尿量
- 細胞外液量が欠乏すると、腎前性乏尿が生じ、尿量は低下する。
- 尿比重
- 尿は濃縮され、尿比重は上昇する。
- 血漿浸透圧
- 水分が多く失われ、細胞外液の浸透圧が上昇する。
- 血清ナトリウム値
- 水の喪失がナトリウムの喪失を上回っている状態で、血清ナトリウム値は上昇する。
正解 1
黄疸は、血液中のビリルビン(胆汁色素)が増加し、皮膚や粘膜が黄染した状態である。
- 眼球結膜
- ビリルビンは弾性線維との親和性が高いため、皮膚、強膜、血管といった弾性線維が豊富な組織に沈着する。特に強膜との親和性が高いため、眼球結膜を観察することで黄疸を確認できる。
- 爪床
- 爪床はチアノーゼの判断に適している。
- 口唇
- 口唇はチアノーゼの判断に適している。
- 耳朶
- 耳朶は血糖値測定に適している。
正解 2
電気的除細動とは、心室細動、心室頻拍が原因で心停止に陥った心臓に電流を流すことで細動や頻拍をなくす処置である。
- 期外収縮
- 期外収縮は最も多くみられる不整脈で、正常な心臓にも異常な心臓にも起こりうる。異常時は薬物療法が適応となる。
- 心室細動
- 心室細動は電気的除細動の適応である。
- 脚ブロック
- 脚ブロックは特に治療の必要は無く、経過観察である。
- 房室ブロック
- 房室ブロックは心臓ペースメーカーの適応である。
【問題15】 成人の1日の尿量で乏尿と判断する基準はどれか。
正解 3
成人が排出する尿量は、1日約1,000〜1,500mLである。
- 100mL以下
- 1日の尿量が100mL以下の場合は無尿という。
- 200mL以下
- 400mL以下
- 1日の尿量が400mL以下の場合を乏尿という。
- 600mL以下
正解 3
動脈硬化の危険因子は、高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満、糖尿病などである。
- 胆石症
- 脂質異常症になると胆石症を合併する可能性が高い。
- 尿管結石
- 尿管結石が危険因子として動脈硬化を引き起こすことはない。尿管結石の原因として痛風などが挙げられる。
- 脂質異常症
- 脂質異常症は、心筋梗塞、脳梗塞等の動脈硬化性疾患の原因及び危険因子である。
- 高尿酸血症
- 高尿酸血症は痛風の危険因子である。動脈硬化を合併することはあるが、選択肢の中で最も関連があるのは脂質異常症である。
正解 3
骨折部が体外に開放されている状態を開放骨折(複雑骨折)、開放されていない状態を閉鎖骨折(単純骨折)という。
- 複数の骨が同時に折れている。
- 複数の骨が同時に折れているものは多発骨折と呼ばれる。
- 複雑な折れ方をしている。
- 一つの骨が複数箇所で離断しているものを複合骨折という。特に細かく複雑な折れ方をしているものは粉砕骨折と呼ばれる。
- 骨折部が外界と交通している。
- 骨折部が体外に開放されている状態を開放骨折という。また、治療が複雑となることから複雑骨折と呼ばれることもある。複合骨折と混同しないように注意する必要がある。
- 骨片の転位を起こしていない。
- 開放性、閉鎖性に関わらず骨片の転位は起こる。
正解 1
抑うつ状態とは、気持ちが沈み、悲観した状態のことである。
- 無気力
- 何をする気力もない状態であり、抑うつ状態にみられる。
- せん妄
- 意識混濁に加えて幻覚や錯覚が見られるような状態である。手術後(術後せん妄)や認知症、アルコール依存症の離脱時等にみられる。
- 徘徊
- 無目的に歩き回る状態であり、認知症患者に多くみられる。
- 幻覚
- 対象なくして知覚する場合いい、統合失調症によくみられる。
【問題19】 副腎皮質ステロイド薬の長期投与による有害作用はどれか。
正解 1
副腎皮質ステロイド薬の長期投与によりクッシング症候群を起こすことがある。
- 骨粗鬆症
- 副腎皮質ステロイド薬の長期投与は、二次性骨粗鬆症の原因となる。
- 血圧低下
- 副腎皮質ステロイド薬の長期投与は、血圧を上昇させる。
- 聴力障害
- 特に関連性はない。
- 低血糖
- 副腎皮質ステロイド薬の長期投与は、血糖値を上昇させる。
【問題20】 ワルファリンカリウム服用時に避けた方がよい食品はどれか。
正解 2
ワルファリンカリウム服用時の禁止事項として、ビタミンKの摂取、妊婦への使用、アスピリンの併用、出血傾向のある患者への使用が挙げられる。
- 緑茶
- 納豆
- ビタミンKを多く含む食品を摂取すると、ワルファリンカリウムの効果が弱まる。納豆やクロレラ食品、パセリ、青汁等は避けるべきである。
- チーズ
- グレープフルーツ
正解 4
日本高血圧学会から発表されている「高血圧治療ガイドライン」により基準が定められている。
- 136/84mmHg
- 収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満であるので、正常範囲である。
- 134/86mmHg
- 収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満であるので、正常範囲である。
- 124/88mmHg
- 収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満であるので、正常範囲である。
- 122/92mmHg
- 拡張期血圧が90mmHg以上であるので、高血圧である。
正解 3
直腸、結腸の走行や位置を考え、浣腸液が最も効果的に作用する体位を選択する。
- 腹臥位
- 腹部の力を抜きにくく、注入液が下行結腸に到達しない。
- 右側臥位
- 下行結腸が直腸より上になり、注入液が到達しない。
- 左側臥位
- 肛門部が見えやすい。また、注入液が直腸から下行結腸へと腸の走行に沿って流入する。
- ファウラー位
- 肛門部が見えにくく、カテーテルを挿入しにくい。また、注入液が肛門付近にたまってしまう。
正解 3
障害がある場合、健側から脱がせ、患側から着せる。この場合、健側は左、患側は右である。
- 右から脱がせ、右から着せる。
- 右から脱がせ、左から着せる。
- 左から脱がせ、右から着せる。
- 正しい寝衣交換の方法である。
- 左から脱がせ、左から着せる。
正解 4
体圧を分散させ、同一部位への持続的な圧迫を避けることが大切である。
- 仙骨部への円座使用
- 接着部の皮膚が圧迫されて血行が悪くなるので適切ではない。
- 褥瘡部のマッサージ
- 皮膚が損傷されるので、マッサージは禁止である。
- 45度半坐位の保持
- 半坐位を保持すると、殿部が持続的な圧迫を受けてしまう。同一部位への圧迫を避けるために、少なくとも2時間ごとに体位変換を行う必要がある。
- 体圧分散寝具の使用
- 体位変換を行うとともに、体圧分散寝具を使用すると効果的である。
正解 1
インスリン製剤の投与量は、単位(U)で表される。
- 単位(U)
- 1923年の国際連盟保険機構の標準化委員会で、インスリンの単位は「約2kgの24時間絶食ウサギの血糖を3時間以内に痙攣レベルにまで下げうる量」と定義された。現在のインスリン国際標準品は、ヒトインスリン26単位/mgである。
- モル(mol)
- マイクログラム(μg)
- ミリグラム当量(mEq)
正解 4
口腔や、陰部、ストーマなど常在菌が多数存在する場合は、無菌操作の必要はなく、非滅菌手袋を使用する。
- 口腔ケア
- 陰部洗浄
- ストーマ装具の交換
- 導尿
- 尿路感染を予防するため、導尿は無菌操作で行う。
【問題27】 鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際に起こりやすい合併症はどれか。
正解 2
鎖骨下静脈は外からは見えないので、穿刺の過程で気胸や血胸、動脈穿刺などが起こりえる。
- 肺炎
- 誤穿刺が直接肺炎を引き起こすことはない。
- 気胸
- 肺を誤穿刺してしまうことにより、肺から空気が漏れて、胸の中に空気が溜まってしまう。
- 嘔吐
- 嘔吐は直接起こりやすい合併症とはいえない。
- 無気肺
- 無気肺は、呼吸筋が低下している際に起こりやすい。
正解 3
矢印の方向は、流路の開放状態を示している。
- A液のみ注入
- B液のみ注入
- A液、B液ともに注入
- A液、B液ともに患者に向けて開放されている。
- A液、B液ともに中断
正解 2
酸素ボンベを保管・使用する際の注意点も把握しておく。
- バルブを開けた時の噴出音
- ボンベ内に酸素が入っていることは確認できるが、残量までは分からない。
- 圧力計の示す値
- 圧力計の示す値から計算することで、酸素ボンベ内の残量を確認できる。
- 加湿ビン内の気泡の量
- 気泡の量は酸素流量に比例する。酸素が入っていることは確認できるが、残量までは分からない。
- 酸素流量計の目盛
- 酸素流量計は酸素流量を調節するものである。
正解 2
出血部を直接圧迫し、圧迫部位を心臓より高く保つことが基本的な止血法である。
- 出血部より末梢側を圧迫する。
- 出血部の圧迫止血を行う。
- 圧迫部位を心臓より高く保つ。
- 心臓より高くして血流を弱めて出血量を減らす。
- 直接圧迫は2〜3分行う。
- 圧迫は止血するまで行う。
- 止血帯は90分以上連続して使用する。
- 30分に1度緊縛をゆるめて2〜3分血流を再開させる。血流再開の間は出血部位を直接圧迫して出血量の増加を防ぐ。止血帯を使用したら、止血時刻を記録しておく。