第107回国家試験必修問題解説(午後問題1〜25)
【問題1】 世界保健機関(WHO)が定義する健康について正しいのはどれか。
正解 3
- 単に病気や虚弱のない状態である。
- 国家に頼らず個人の努力で獲得するものである。
- 肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態である。
- 「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」と健康を定義している。
- 経済的もしくは社会的な条件で差別が生じるものである。
【問題2】 健康日本21(第二次)で平成34年度(2022年度)の目標として示されている1日当たりの食塩摂取量はどれか。
正解 2
- 5g
- 8g
- 平成34年度(2022年度)においては、1日当たりの食塩摂取量は8gを目標としている。
- 11g
- 14g
【問題3】 大気汚染物質の二酸化硫黄(SO2)について正しいのはどれか。
正解 3
- 発がん性がある。
- じん肺を引き起こす。
- 酸性雨の原因物質である。
- 二酸化硫黄は、硫黄や硫黄化合物が燃焼したときに生じる気体で、呼吸器を強く刺激して咳、気管支喘息、気管支炎を起こしたり、酸性雨の原因物質となる。
- 不完全燃焼によって発生する。
【問題4】 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章が策定された年はどれか。
正解 4
- 1947年
- 1967年
- 1987年
- 2007年
- ワーク・ライフ・バランス憲章において、仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」であると定義されている。
正解 4
- 約束を守る。
- 誠実と忠誠の原則である。
- 害を回避する。
- 無危害原則である。
- 自己決定を尊重する。
- 自律尊重原則である。
- 公平な資源の配分を行う。
- 正義原則である。
正解 4
- 手術後の創部痛がある。
- 身体的苦痛である。
- 社会的役割を遂行できない。
- 社会的苦痛である。
- 治療の副作用に心配がある。
- 精神的苦痛である。
- 人生の価値を見失い苦悩する。
- スピリチュアルな苦痛である。
正解 1
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 卵巣機能低下によってエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌は低下し、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の分泌は増加する。
- テストステロン
- プロラクチン
- エストロゲン
【問題8】 平成25年(2013年)の国民生活基礎調査で、要介護者からみた主な介護者の続柄で割合が最も多いのはどれか。
正解 3
- 同居の父母
- 別居の家族
- 同居の配偶者
- 平成25年(2013年)の国民生活基礎調査によると、要介護者からみた主な介護者の続柄で割合が最も多いのは「同居の配偶者」で、次いで「同居の子」である。
- 同居の子の配偶者
【問題9】 訪問看護ステーションの管理者になることができる職種はどれか。
正解 2
- 医師
- 看護師
- 訪問看護ステーションの管理者は、看護師または保健師でなければならない。ただし、健康保険法に基づく訪問看護のみを行うステーションの場合は、助産師も管理者になることができる。
- 介護福祉士
- 理学療法士
正解 3
- 股関節の屈曲である。
- 股関節の外転である。
- 股関節の内転である。
- 股関節の内旋である。
正解 3
- 腹壁反射
- 輻輳反射
- 対光反射
- 死の三徴候とは、心臓の停止、自発呼吸の停止、瞳孔散大と対光反射の消失をいう。
- 深部腱反射
正解 1
- 滲出性下痢
- 滲出性下痢は、炎症により滲出液が増えることで起こる。潰瘍性大腸炎やクローン病などでみられる。
- 分泌性下痢
- 分泌性下痢は、細菌による毒素やホルモンの刺激などの影響で腸からの水分分泌量が増えることで起こる。
- 脂肪性下痢
- 脂肪性下痢は、脂肪吸収不良によって起こる。慢性膵炎などでみられる。
- 浸透圧性下痢
- 浸透圧性下痢は、人工甘味料の過剰摂取や乳糖不耐症などにより腸内の浸透圧が上がり、腸からの水分吸収が妨げられることで起こる。
正解 4
- 幻聴
- 統合失調症などでみられる。
- 感情失禁
- 脳血管性認知症などでみられる。
- 理由のない爽快感
- 躁状態、多幸症などでみられる。
- 興味と喜びの喪失
- 典型的なうつ病の症状として、抑うつ気分、興味と喜びの喪失、易疲労性が挙げられる。
正解 2
- 水平感染
- 垂直感染
- 垂直感染とは、病原体が母親から子供へと感染することで、母子感染ともいう。それ以外の人から人、または動物から人への感染を水平感染という。
- 接触感染
- 飛沫感染
【問題15】 出血傾向を考慮し手術前に投与の中止を検討するのはどれか。
正解 3
- アドレナリン
- テオフィリン
- ワルファリン
- ワルファリンは抗凝固薬であり、血栓症や塞栓症の治療および予防などに用いられる。出血傾向を助長することがあるので、出血している患者、出血する可能性のある患者には禁忌である。また妊婦に対しても禁忌である。
- バンコマイシン
正解 3
- 痛風
- 膀胱炎
- 消化性潰瘍
- インドメタシンには、鎮痛、解熱、抗炎症作用がある。消化器への直接刺激作用やプロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下し、消化性潰瘍が悪化する恐れがあるため禁忌である。
- 関節リウマチ
【問題17】 Fowler(ファウラー)位で食事を摂るときの姿勢で誤嚥を予防するのはどれか。
正解 2
- 頸部側屈位
- 頸部前屈位
- 頸部前屈位は咽頭と気管に角度をつけることで誤嚥を予防する。
- 頸部後屈位
- 頸部回旋位
【問題18】 男性に導尿を行う際、カテーテル挿入を開始するときの腹壁に対する挿入角度で最も適切なのはどれか。
正解 2
- 30〜40度
- 80〜90度
- 成人男性の導尿の場合、仰臥位で両脚を伸ばすようにし、陰茎を90度の角度にして少し引き上げるように持って、ゆっくりカテーテルを15cmほど挿入する。その後、60度の角度に戻してさらに5cm挿入する。
- 120〜130度
- 160〜170度
【問題19】 標準予防策(スタンダードプリコーション)において、創傷や感染のない患者への援助で使い捨て手袋が必要なのはどれか。
正解 3
- 手浴
- 洗髪
- 口腔ケア
- スタンダードプリコーション(標準予防策)は、1996年に米国疾患管理予防センターにより提唱された院内感染予防の概念である。感染症の有無に関わらず、患者の血液、汗を除く全ての体液分泌物、排泄物、粘膜、損傷した皮膚を感染源とみなし対処する。
- 寝衣交換
正解 2
- 出血
- 便秘
- モルヒネの副作用には、悪心や嘔吐、便秘、呼吸抑制などがある。
- 高血圧
- 粘膜障害
正解 2
- 難聴
- 悪心
- ジギタリスは心筋収縮力を増大させる慢性心不全の治療薬であるが、安全域が非常に狭く、治療域を超えると副作用が見られる。副作用には、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、食欲不振、不整脈などがある。
- 易感染
- 低血糖
正解 3
- 駆血帯を巻いている時間は長いほど良い。
- 針の刃面を下に向けて血管内に刺入する。
- 静脈内に針を刺入したらゆっくり内筒を引く。
- 針先が確実に静脈内に入ったら、内筒をゆっくり引いて血液を採取する。
- 針を抜いてから圧迫止血を行わない。
【問題23】 呼びかけに反応はないが正常な呼吸がみられる傷病者に対して、まず行うべき対応はどれか。
正解 3
- 下肢を挙上する。
- 胸骨圧迫を行う。
- 回復体位をとる。
- 正常な呼吸がみられるので、胸骨圧迫やAEDは必要ない。回復体位をとり、嘔吐物等による窒息を防止する。
- 自動体外式除細動器(AED)を装着する。
正解 2
- 乾燥
- 発赤
- 褥瘡の初期症状として圧迫を受けた部位が赤くなる。
- 白斑
- 鱗屑
【問題25】 マズロー,A.H.の基本的欲求階層論で最高次の欲求はどれか。
正解 4
- 安全の欲求
- 安全の欲求とは、苦痛や不安から解放されたいという欲求である。マズローの欲求段階は第2段階である。
- 承認の欲求
- 承認の欲求とは、自分の存在や価値を他者に認めてほしいという欲求である。マズローの欲求段階は第4段階である。
- 生理的欲求
- 生理的欲求とは、食欲や睡眠欲など人間が生きるうえでの基本的な欲求である。マズローの欲求段階は最も低次の第1段階である。
- 自己実現の欲求
- 自己実現の欲求とは、自分の能力や可能性を最大限発揮したいという欲求である。マズローの欲求段階は最も高次の第5段階である。
- 所属と愛の欲求
- 所属と愛の欲求とは、友人や家族など周囲の人々と関わりたいという欲求である。マズローの欲求段階は第3段階である。