第101回国家試験必修問題解説(午後問題1〜25)

【問題1】 喫煙年数のほかに、喫煙指数(Brinkman〈ブリンクマン〉指数)を決定するのはどれか。

正解 4

喫煙指数は、喫煙が人体に与える影響の目安となるものである。

  1. 喫煙開始年齢
  2. 受動喫煙年数
  3. 家庭内の喫煙者数
  4. 1日の平均喫煙本数
    • 喫煙指数は、1日の喫煙本数×喫煙年数で求める。数値が400を超えると癌を発症する危険性が高くなるとされている。

【問題2】 シックハウス症候群の原因と考えられているのはどれか。

正解 4

  1. 電磁波
  2. アスベスト
  3. 窒素酸化物
  4. ホルムアルデヒド
    • ホルムアルデヒドは、建築資材の接着剤などに含まれており、目まいや喉の痛みなどを引き起こすシックハウス症候群の原因となる。ホルムアルデヒドの水溶液はホルマリンである。

【問題3】 介護保険の第2号被保険者は、□歳以上65歳未満の医療保険加入者である。□に入る数字で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 25
  2. 30
  3. 35
  4. 40
    • 介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。

【問題4】 保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。

正解 2

  1. 記録の保存
    • 医療法によって看護記録は2年間の保存が義務付けられているが、保健師助産師看護師法には定められていない。
  2. 秘密の保持
    • 保健師、看護師または准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師・看護師または准看護師でなくなった後においても、同様である。
  3. 勤務時間の報告
    • 保健師助産師看護師法には定められていない。
  4. 関係機関との連携
    • 関係機関との連携は重要ではあるが、保健師助産師看護師法には定められていない。

【問題5】 フィンクの危機モデルの第1段階はどれか。

正解 3

フィンクの危機モデルとは、危機に直面した人の心理過程のモデルを4段階で表したものである。

  1. 承認
    • 第3段階である。現実に直面し、怒りや悲しみ、抑うつ状態、また、衝撃の時期同様に無力感や激しい不安、混乱を示すが、現実から逃げても真の満足は得られないことを悟り、徐々に現実を受け入れられるようになっていく。
  2. 適応
    • 第4段階である。現実を認め、建設的な方法で、積極的に状況に対処する。自分の持つ資源や能力を探求・活用して、新しい満足感が得られるよう試みる。
  3. 衝撃
    • 第1段階である。無力感や強い不安を感じ、パニック状態に陥る。思考が混乱し、事態を十分に理解・把握できなくなるため、状況に適切に対処することができなくなる。
  4. 防衛的退行
    • 第2段階である。現実からの逃避や否認、退行などの防衛機制が働き、現実から目を背ける。非現実的な幸福感を示し、それを崩そうとする人や物を脅威に感じ、敵意を向ける。

【問題6】 胎生期から10歳までの血清免疫グロブリン濃度の年齢による変動を図に示す。①が示しているのはどれか。

正解 3

第101回看護師国家試験必修問題解説6図

グラフを見ると、出生時において成人値とほとんど同値であることがわかる。

  1. IgA
  2. IgD
  3. IgG
    • IgGは胎盤通過性があり、出生時では母体からの受動免疫を保持している。なおかつ微量ながら自身の産生もあるため、出生時は成人と同レベルまたはそれを超えるレベルである。時間とともに受動免疫は低下し、産生能力も不十分であるため、生後3〜6か月頃に最低値となる。その後、産生組織の発達に伴い、1歳ではIgGレベルは成人の平均値の約60%に達し、10歳頃までには成人レベルに達する。
  4. IgM

【問題7】 平成20年(2008年)国民健康・栄養調査において、女性でやせ(BMI<18.5)の割合が最も高いのはどれか。

正解 1

  1. 20〜29歳
    • 平成20年(2008年)国民健康・栄養調査によると、やせ(BMI<18.5)の割合は、男性4.3%、女性10.8%であり、女性では、20歳代(22.5%)次いで30歳代(16.8%)で割合が高い。
  2. 30〜39歳
  3. 40〜49歳
  4. 50〜59歳

【問題8】 平成21年(2009年)における日本の高齢化率はどれか。

正解 3

高齢化率とは、高齢者(65歳以上)が総人口に占める割合である。

  1. 2.7%
  2. 12.7%
  3. 22.7%
    • 平成22年高齢社会白書によると、平成21年における日本の総人口は1億2,751万人、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2,901万人で、高齢化率は22.7%である。
  4. 32.7%

【問題9】 プライマリナーシングの説明で正しいのはどれか。

正解 3

  1. 1人の看護師が毎日異なる患者を担当する。
  2. 看護業務を内容別に分類し、複数の看護師が分担して実施する。
  3. 1人の患者を1人の看護師が入院から退院まで継続して受け持つ。
    • プライマリーナーシングとは、看護師がやりがいや責任感を持って看護を提供できるよう開発された看護方式で、1人の患者を1人の看護師(プライマリーナース)が入院から退院まで一貫して担当する方式である。患者との信頼関係が築きやすく、やりがいをもって業務にあたることができるので看護師の主体性や自立性が高まるが、看護師の能力の差が看護内容に反映されやすくなる。
  4. 患者をいくつかのグループに分け、看護師がチームを組織して受け持つ。

【問題10】 胎児の卵円孔の位置で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 右心房と左心房の間
    • 卵円孔は、胎生期の心房中隔に存在する孔である。胎生期は肺循環がないため、酸素が豊富な臍帯静脈からの血液のほとんどは、卵円孔を通って右心房から左心房に入り、次に左心室に入って大動脈へと流れる。肺呼吸開始に伴って閉鎖する。
  2. 右心室と左心室の間
  3. 大動脈と肺動脈の間
  4. 門脈と下大静脈の間

【問題11】 チアノーゼの際に増加しているのはどれか。

正解 4

血液中の酸素濃度が低下して、口唇や爪床など皮膚や粘膜が青紫色になった状態をチアノーゼという。

  1. 直接ビリルビン
    • 肝内胆汁うっ滞性黄疸や閉塞性黄疸は、直接ビリルビンの増加によってみられる。
  2. 間接ビリルビン
    • 溶血性黄疸や新生児黄疸、肝細胞性黄疸は、間接ビリルビンの増加によってみられる。
  3. 酸化ヘモグロビン
    • 還元ヘモグロビンが酸素と結合したものが酸化ヘモグロビンである。
  4. 還元ヘモグロビン
    • 血中の還元ヘモグロビンが5g/dL以上でチアノーゼが起こる。呼吸器疾患や循環不全によって、全身あるいは一部器官で還元ヘモグロビンが増加すると、還元ヘモグロビンの色がチアノーゼとして現れる。

【問題12】 乏尿はどれか。

正解 1

  1. 1日の尿量が少ない。
    • 1日の尿量が400mL以下の場合を乏尿といい、100mL以下の場合を無尿という。
  2. 尿意が乏しい。
  3. 排尿痛がない。
  4. 尿比重が低い。

【問題13】 全身性のけいれん発作時の対応で優先するのはどれか。

正解 3

  1. 血圧測定
  2. 四肢の固定
  3. 気道の確保
    • 口や鼻をふさがないようにして顔を横に向けて気道の確保、誤嚥の防止を優先的に行う。同時に、発作中の事故がないよう安全も確保する。
  4. 静脈路の確保

【問題14】 糖尿病の診断指標となるのはどれか。

正解 2

糖尿病は、血液中に含まれるブドウ糖の濃度が高い状態が長く続く病態である。

  1. 尿酸値
    • 尿酸値は、血中に含まれる尿酸の濃度であり、高尿酸血症の診断基準として用いられる。
  2. HbA1c
    • 糖尿病の診断基準
      (1)随時血糖値200mg/dl以上
      (2)空腹時血糖126mg/dl以上
      (3)75g糖負荷試験で2時間値200mg/dl以上
      (4)HbA1c6.5%以上
      HbA1cは、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものである。赤血球の寿命は約120日あり、HbA1c値によって過去1、2か月の血糖状態を把握することができる。
  3. 赤血球沈降速度
    • 赤血球沈降速度とは、赤血球が試薬内を沈む速度である。抗凝固剤を混ぜた血液をガラス管に入れて垂直に立て、時間の経過に伴う赤血球の沈降によってできる血漿の上澄みの高さを測る。炎症や組織崩壊などの病変のスクリーニング検査として用いられる。
  4. プロトロンビン時間
    • プロトロンビン時間は、出血してから肝臓でプロトロンビンが作られるまでの時間であり、外因系及び共通系の凝固異常を判定するスクリーニング検査として用いられる。肝機能が低下すると、血液中の血液凝固因子が減少するため、プロトロンビン時間は長くなる。

【問題15】 経口感染する肝炎はどれか。

正解 1

  1. A型肝炎
    • A型肝炎の感染経路は、汚染された水や食物などからの経口感染である。
  2. B型肝炎
    • B型肝炎の感染経路は、輸血や性行為、母子感染など、血液や体液を介しての感染である。
  3. C型肝炎
    • C型肝炎の感染経路は、主に血液を介しての感染である。
  4. D型肝炎
    • D型肝炎の感染経路は、血液を介しての感染である。D型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスが共存している場合にのみ増殖する。

【問題16】 抗癌薬による骨髄機能抑制症状はどれか。

正解 4

骨髄抑制によって造血機能が低下し、白血球、赤血球、血小板が減少する。

  1. 嘔吐
    • 抗癌薬の副作用であるが、骨髄機能抑制症状ではない。
  2. 脱毛
    • 抗癌薬の副作用であるが、骨髄機能抑制症状ではない。
  3. 下痢
    • 抗癌薬の副作用であるが、骨髄機能抑制症状ではない。
  4. 歯肉出血
    • 抗癌薬によって骨髄機能が抑制されると、血小板が減少し出血傾向となる。その他の骨髄機能抑制症状として、白血球減少による感染・発熱、赤血球減少による貧血などがある。

【問題17】 冷凍保存する血液製剤はどれか。

正解 4

  1. アルブミン
    • アルブミン製剤は、出血性ショックや熱傷などで使用される。凍結を避けて30℃以下で保存する。
  2. グロブリン
    • 免疫グロブリン製剤は、重症感染症などで使用される。凍結を避けて10℃以下で保存する。
  3. 血小板
    • 血小板の減少やそれによる出血および出血傾向がある場合などに使用される。20〜24℃で保存し、採血後72時間以内で有効である。
  4. 血漿
    • 血液凝固因子の欠乏による出血および出血傾向のある場合などに使用される。−20℃以下で保存し、採血後1年間有効である。

【問題18】 治療・ケアが疾患別に時系列で示されているのはどれか。

正解 2

  1. 熱型表
    • 熱型表は、体温の経過表である。
  2. クリニカルパス
    • クリニカルパスは、疾患別に入院中や退院後の治療や検査、処置、指導、看護、食事などを時系列で示した、標準的な治療・ケア計画表である。情報を共有化することで、チーム医療を実現することができる。通常、医療者用と患者用の2つを作成する。
  3. 問題志向型叙述記録
    • 問題志向型の叙述的記録方式はSOAPとも呼ばれる。看護問題がどのような経過をたどり解決されていったかを4つの項目に分けて記載し、問題解決の方法を見出す記録手法である。
      S(Subjective data):問題に関しての患者および家族が直接提供する訴えなどの主観的情報。
      O(Objective data):観察や検査など医師や看護者などの専門職が取り出す客観的情報。
      A(Assessment):SとOの情報を解釈・分析・評価する。
      P(Plan):上記を基にした初期計画、計画の実施、問題解決のための計画の追加、修正。
  4. フォーカスチャーティング
    • フォーカスチャーティングは、患者に焦点をあてたコラム形式の経過記録方式である。患者に起こった関わりが必要な出来事(concerns)に焦点をあてて(focus)、その時の患者の状態・状況・情報(data)と、その状況に応じて実行・介入した事実や行為(Action)、さらにその結果・評価・反応(response)を系統的に記載する叙述的な経過記録である。

【問題19】 女性患者の床上排泄において洋式便器をあてる位置を図に示す。適切なのはどれか。

正解 1

床上排泄は羞恥心を伴う行為であるので、患者の気持ちに十分配慮し、援助を行う必要がある。

  1. 第101回看護師国家試験必修問題解説19図1
    • 便器の中心に肛門がくるようにし、自然で楽に排泄できるよう便器をあてる。腹圧をかけやすくするよう、可能であれば上体を軽度挙上する。女性の場合、尿の飛散防止と消音のためちり紙を陰部にあてる。また、患者が不快にならぬよう、便器を乾燥させておく、温めておくなどの配慮を行う。
  2. 第101回看護師国家試験必修問題解説19図2
    • 着衣や下着を汚さぬよう、肛門が中心にくるように便器をあてる。
  3. 第101回看護師国家試験必修問題解説19図3
    • 便器の方向が逆であるため、臀部が安定しない。
  4. 第101回看護師国家試験必修問題解説19図4
    • 肛門が便器の中心になく、便器の方向も逆である。

【問題20】 成人男性に対して一時的な導尿をする際に、カテーテルを挿入する長さはどれか。

正解 3

  1. 4〜6cm
    • 成人女性の場合である。女性の場合、10cm以上の挿入は膀胱内壁を傷つける可能性がある。
  2. 8〜10cm
  3. 18〜20cm
    • 成人男性の導尿の場合、仰臥位で両脚を伸ばすようにする。カテーテル挿入の長さは16〜20cmである。
  4. 28〜30cm

【問題21】 左上肢に拘縮のある患者の寝衣交換で正しいのはどれか。

正解 2

四肢に障害がある場合、健側から脱がせ、患側から着せる。

  1. 脱がせるときも着せるときも右手から行う。
  2. 脱がせるときは右手から行い、着せるときは左手から行う。
    • 左上肢に拘縮があり、健側は右、患側は左である。この場合、右から脱がせ、左から着せる。
  3. 脱がせるときも着せるときも左手から行う。
  4. 脱がせるときは左手から行い、着せるときは右手から行う。

【問題22】 注射針を皮膚に対して45〜90度の角度で刺入する注射法はどれか。

正解 3

  1. 皮下注射
    • 皮下注射では、通常22〜25Gの注射針を使用する。薬液を皮下組織に注入することが目的であり、皮膚を少しつまみ上げて、10〜30度の角度で2/3程度刺入する。
  2. 皮内注射
    • 皮内注射は、ツベルクリン反応や即時型アレルギーの診断の際に用いられ、通常26〜27Gの注射針を使用する。皮膚面とほぼ平行な形で針を刺入する。
  3. 筋肉内注射
    • 筋肉内注射では、通常21〜23Gの注射針を使用する。薬液を筋肉の筋層内に注入することが目的であり、皮膚を進展させて、45〜90度の角度で刺入する。
  4. 静脈内注射
    • 静脈内注射では、通常21〜23Gの注射針を使用し、15〜20度の角度で刺入する。

【問題23】 ゴム製湯たんぽを使った温罨法で正しいのはどれか。

正解 3

  1. 入れる湯の温度は70℃とする。
    • ゴム製湯たんぽの温度は60℃程度とし、それ以上の温度にはしない。金属製の場合は、80℃程度とする。
  2. 湯を1/3程度入れる。
    • 湯は湯たんぽの2/3程度入れる。
  3. 湯たんぽ内の空気を抜いて栓をする。
    • 空気が膨張し、栓から湯が漏れる恐れがあるため、湯たんぽ内の空気を抜いて栓をする。
  4. 湯たんぽは身体から2〜3cm離しておく。
    • 湯たんぽは身体から10cm程度離して使用する。

【問題24】 成人の一次救命処置における圧迫部位を図に示す。正しいのはどれか。

正解 1

  1. 第101回看護師国家試験必修問題解説24図1
    • 圧迫部位は胸の真ん中、胸骨の下半分の位置である。胸骨圧迫は、強く(5cm以上胸が沈むよう)、速く(1分間に100回以上)、絶え間なく行う。
  2. 第101回看護師国家試験必修問題解説24図2
  3. 第101回看護師国家試験必修問題解説24図3
  4. 第101回看護師国家試験必修問題解説24図4

【問題25】 褥瘡の洗浄液で適切なのはどれか。

正解 2

細菌や壊死組織、滲出液などを除去し、創部および創部周囲を清潔に保つことは、創傷治癒を促進させる。

  1. エタノール
  2. 生理食塩液
    • 人肌に温めた生理食塩水または水道水で圧をかけて洗浄する。
  3. ホルマリン
  4. クロルヘキシジン

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