第100回午前問題117

次の文を読み115~117の問いに答えよ。
Aさん(32歳、経産婦)は、身長160cmで、非妊時体重は52kgであった。妊娠33週2日の妊婦健康診査では、体重59kg、血圧110/76mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫+、子宮底長は28cmである。胎児心拍の最良聴取部位は左臍棘線中央にあり、「最近、動くとおなかが頻繁に張ります。便秘がひどくなっているせいかもしれません」と言う。

2時間後にAさんは、2,650gの児を娩出した。児のアプガースコアは1分後、5分後ともに9点であり、羊水混濁はなかった。出生3時間後の児の状態は、体温36.8℃、心拍数145/分、呼吸数65/分で、四肢に軽度のチアノーゼが見られる。児の状態で考えられるのはどれか。

  1. 無呼吸発作
  2. 呼吸窮迫症候群(RDS)
  3. 胎便吸引症候群(MAS)
  4. 新生児一過性多呼吸(TTN)

正解 4

  1. 無呼吸発作
    • 無呼吸発作とは、20秒以上持続する呼吸停止、または20秒未満の呼吸停止でも徐脈(心拍数100/分以下)か、チアノーゼを伴う場合をいう。この場合、無呼吸発作ではない。
  2. 呼吸窮迫症候群(RDS)
    • 呼吸窮迫症候群は、肺サーファクタントの不足によって、肺胞の拡張不全、呼吸障害を起こす。在胎35週くらいまでの肺サーファクタントの生成量は不十分であるため、在胎32週以前の早産児や1,500g未満の極低出生体重児の場合に起こりやすい。
  3. 胎便吸引症候群(MAS)
    • 胎便吸引症候群は、胎便で汚染された羊水を気道内に吸引することで生じる呼吸障害である。この場合、羊水混濁はないので考えられない。
  4. 新生児一過性多呼吸(TTN)
    • 新生児一過性多呼吸は、出生後の肺胞内の肺水の排出・吸収遅延によって引き起こされる呼吸障害である。症状として、多呼吸、呻吟、陥没呼吸、チアノーゼなどがみられる。
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