第100回国家試験必修問題解説(午後問題1〜25)
【問題1】 日本における平成20年の人口ピラミッドはどれか。
正解 3
近年では、少子高齢化によって、つぼ型に近い形となっている。
- 第1次ベビーブーム(昭和22〜24年)と第2次ベビーブーム(昭和45〜49年)の2つのふくらみが特徴である。
【問題2】 運動習慣が身体機能に与える影響で正しいのはどれか。
正解 3
運動習慣は心身の健康に影響を及ぼす。
- 体脂肪率の増加
- 体脂肪が燃焼するため、体脂肪率は減少する。
- 最大換気量の減少
- 心肺機能が増大するため、最大換気量は増加する。
- 基礎代謝量の増加
- 筋肉量の増加によって、基礎代謝量も増加する。
- 1回心拍出量の減少
- 心肺機能が増大するため、1回心拍出量は増加する。
【問題3】 牛海綿状脳症(BSE)に対する食品安全対策の目的はどれか。
正解 4
食品安全対策として、BSE検査や特定危険部位の除去などを行っている。
- A型肝炎の予防
- 鳥インフルエンザの予防
- サルモネラによる食中毒の予防
- クロイツフェルト・ヤコブ病の予防
- BSEとヤコブ病は、いずれも異常プリオン蛋白質が原因とされる脳がスポンジ状になる伝達性海綿状脳症の一つであり、ヤコブ病発症の原因は、BSEの異常プリオン蛋白質の摂取と関連するとされている。
【問題4】 介護保険制度における居宅サービス費の原則的な利用者負担の割合はどれか。
正解 2
食事や居住は介護保険適用外である。
- なし
- 1割
- 介護保険制度における居宅サービス費の自己負担割合は原則1割である。
- 3割
- 5割
【問題5】 保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
正解 2
保健師助産師看護師法42条の2に規定されている。
- 応招義務
- 診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な理由なく拒んではならない。(医師法19条)
- 守秘義務
- 保健師、看護師または准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師・看護師または准看護師でなくなった後においても、同様である。
- 処方箋交付の義務
- 医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者または看護に当っている者に対して処方箋を交付しなければならない。(医師法22条)
- セカンドオピニオン提供の義務
- セカンドオピニオンに関して規定されている法律はない。
【問題6】 マズロー,A.H.の基本的欲求階層論で最も高次の欲求はどれか。
正解 4
マズローの欲求段階についての問題である。
- 安全の欲求
- 安全の欲求とは、苦痛や不安から解放されたいという欲求である。マズローの欲求段階は第2段階である。
- 生理的欲求
- 生理的欲求とは、食欲や睡眠欲など人間が生きるうえでの基本的な欲求である。マズローの欲求段階は第1段階である。
- 所属愛の欲求
- 所属愛の欲求とは、友人や家族など周囲の人々と関わりたいという欲求である。マズローの欲求段階は第3段階である。
- 自己実現の欲求
- 自己実現の欲求とは、自分の能力や可能性を最大限発揮したいという欲求である。マズローの欲求段階は最高位の第5段階である。
正解 4
発達には個人差がある。
- 親指と人さし指を使って、物をつまむことができない。
- 親指と人さし指を使って、物をつまむことができるようになるのは、1歳頃である。
- 意味のある言葉を話すことができない。
- 意味のある言葉を話しはじめるのは、1歳を過ぎた頃である。
- つかまり立ちができない。
- つかまり立ちができるようになるのは、生後8〜10か月頃である。
- 首がすわらない。
- 通常、首がすわるのは生後3〜4か月頃である。生後6か月で首がすわっていなければ、発達の遅れを疑う。
【問題8】 日本における平成20年の家族の世帯構造で最も多いのはどれか。
正解 1
平均世帯人員は減少傾向にある。
- 夫婦と未婚の子のみの世帯
- 「平成20年国民生活基礎調査の概況」によると、夫婦と未婚の子のみの世帯は、1473万2千世帯で全世帯の30.7%であり、最も多い。
- 三世代世帯
- 「平成20年国民生活基礎調査の概況」によると、三世代世帯は、422万9千世帯で全世帯の8.8%である。
- 単独世帯
- 「平成20年国民生活基礎調査の概況」によると、単独世帯は、1192万8千世帯で全世帯の24.9%である。
- 母子世帯
- 「平成20年国民生活基礎調査の概況」によると、母子世帯は、70万1千世帯で全世帯の1.5%である。
正解 2
市町村保健センターの設置は市町村が行う。
- 専門的で広域的な健康課題への対応
- 専門的で広域的な健康課題への対応は、保健所が行っている。
- 地域住民に密着した健康相談
- 市町村保健センターは、健康相談や保健指導など、地域住民に密着した対人保健サービスを行っている。
- 看護師免許申請の受理
- 看護師免許申請の受理は、保健所の業務である。
- 病気の治療
- 病気の治療は、病院や診療所の業務である。
正解 4
動脈血とは、肺に入って酸素を多く含んだ血液のことである。
- 右心房
- 静脈血が大静脈を通って右心房に流入する。
- 右心室
- 右心室は肺に静脈血を送り出す。
- 左心房
- 動脈血が肺静脈を通って左心房に流入する。
- 左心室
- 左心室は大動脈より全身に動脈血を送り出す。
正解 3
外分泌とは、分泌物が導管を通じて体表または消化管内に排出されることをいう。
- 副腎
- 副腎皮質から副腎皮質ホルモン、副腎髄質からカテコールアミンを分泌する。内分泌器官である。
- 胸腺
- T細胞の分化、成熟など、免疫機能に関与する内分泌器官である。
- 涙腺
- 涙腺や汗腺、唾液腺などは外分泌器官である。
- 甲状腺
- 甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官である。
正解 3
受精卵が子宮体部以外の場所に着床して発育する場合を子宮外妊娠という。
- 卵巣
- 卵管
- 子宮体部
- 受精卵は卵管から子宮内に入り、子宮体部に着床する。
- 子宮頸部
正解 4
黄疸は、血液中のビリルビン(胆汁色素)が増加し、皮膚や粘膜が黄染した状態である。
- 爪床
- 爪床ではチアノーゼや貧血を確認することができる。
- 毛髪
- 毛髪からは体内の有毒物質が検出できる。
- 耳たぶ
- 耳たぶは血糖値や出血時間の測定に適している。
- 眼球結膜
- ビリルビンは弾性線維との親和性が高いため、皮膚、強膜、血管といった弾性線維が豊富な組織に沈着する。特に強膜との親和性が高いため、眼球結膜を観察することで黄疸を確認できる。
正解 1
胃液には水分、電解質が含まれている。
- 脱水
- 頻回の嘔吐により脱水が起こりやすい。
- 貧血
- 貧血の際に嘔吐を伴うことがある。
- アシドーシス
- 頻回の嘔吐による胃液の喪失により、代謝性アルカローシスが見られることがある。代謝性アシドーシスは頻回の下痢によって生じることがある。
- 低カリウム血症
- 頻回の嘔吐により塩酸が体外に大量に失われることで、低クロール血症が生じる。低カリウム血症も生じることがある。
正解 1
がん対策基本法は、2007年より施行された、がん対策について定めた法律である。
- がん予防の推進
- 「国及び地方公共団体は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及その他のがんの予防の推進のために必要な施策を講ずるものとする」(第12条)
- がん治療の無償化
- がん治療の無償化は規定されていない。
- 特定地域への医療設備の集中
- 居住する地域にかかわらず、適切ながん医療を受けることができるよう医療機関の整備を図る、と規定されている。
- 医療者の意向を優先した治療方法の決定
- がん患者の意向を尊重して、治療方法等が選択されるよう体制を整備すること、と規定されている。
【問題16】 心的外傷後ストレス障害(PTSD)で正しいのはどれか。
正解 4
PTSDは、心的外傷がストレス源となり、心身に支障を来たすストレス障害である。
- 数日間で症状は消失する。
- 1か月以上持続するものをPTSD、1か月未満のものはASD(急性ストレス障害)という。
- 特定の性格を持った人に起こる。
- トラウマ体験が原因となるもので、誰にでも起こりえる。
- 日常のささいな出来事が原因となる。
- 衝撃的な出来事が原因となって生じる。
- 原因になった出来事の記憶が繰り返しよみがえる。
- 原因となったトラウマ体験が鮮明に思い出されたり、夢に見たりする現象(フラッシュバック)が起きる。
正解 3
ニトログリセリンは、血管拡張作用があり、狭心症治療薬として用いられる。
- 多尿
- 易感染
- 血圧の低下
- ニトログリセリンの副作用として血圧低下がある。めまいや立ちくらみによる転倒を予防するために、立位での服用はしないようにする。
- 消化管からの出血
正解 4
一日尿量が100ml以下の状態を無尿という。
- マグネシウム
- ナトリウム
- クロール
- カリウム
- 無尿時ではカリウムの排泄が十分でないため、血中のカリウムが増加している。この状態でのカリウムの投与は、不整脈や心停止の恐れがある。
正解 1
主観的情報とは患者の訴えや自覚症状など、患者の言葉から得られる情報のことである。
- 腹部が痛いという患者の訴え
- 患者から得られる主観的情報である。
- 体重60.5kgという栄養士の記録
- 記録から得られる客観的情報である。
- 血圧126/72mmHgという自動血圧計の測定値
- 測定から得られる客観的情報である。
- ドレーン刺入部の発赤という看護師の観察結果
- 観察から得られる客観的情報である。
【問題20】 成人患者に浣腸を行うときに、患者の体位で適切なのはどれか。
正解 4
腸の走行を考える。
- 坐位
- 仰臥位
- 右側臥位
- 左側臥位
- 液を腸内に浸透しやすく留まりやすくするために、体位は左側臥位とする。
正解 2
患者を安全かつ円滑に移送する必要がある。
- エレベーターを利用するときは、エレベーターの中で方向転換する。
- エレベーターには後ろ向きに乗り、エレベーターの中では方向転換はしない。
- 移乗する前にフットレスト(足のせ台)を上げる。
- 移乗する前にフットレストを上げておき、移乗の妨げにならないようにする。
- 急な下り坂では前向きに車椅子を進める。
- 急な下り坂では後ろ向きに車椅子を進める。
- 段差は勢いをつけて乗り越える。
- 段差をあがる時は車椅子の前輪を浮かせて乗り越える。
正解 1
インシデントレポートとは、ヒヤリハット事例の報告のことである。
- 再発の防止
- インシデントレポートの最大の目的は、事故の予防である。個人の責任を追及するのではなく、事故の把握、原因の分析、組織での共有を行い、事故の予防・再発の防止に役立てる。
- 責任の追求
- 処分の決定
- 個人の反省
【問題23】 成人患者に経鼻的に経管栄養法を行う際のカテーテルの挿入で正しいのはどれか。
正解 4
経管栄養法は、鼻あるいは腹壁から胃や空腸などに管を通して流動食を注入する方法である。
- 挿入時は、体位を仰臥位にする。
- 嘔吐による誤嚥を予防するため、挿入時の体位は、半坐位または坐位とする。
- カテーテルの先端が咽頭部を通過するまでは、頸部を前屈位にする。
- カテーテルの先端が咽頭部を通過するまでは、頸部を後屈位にする。後屈位にすることで角度が緩やかになり挿入しやすくなる。
- カテーテルの先端が咽頭部を通過した後は、頸部を後屈位にする。
- カテーテルの先端が咽頭部を経過した後は、頸部を前屈位にする。後屈位のままだと喉頭口が開いてしまい、カテーテルを気道へ誤挿入してしまう可能性がある。
- 挿入後は、カテーテルから胃内容物を吸引して挿入部位を確認する。
- 挿入後は、胃内容液の吸引や胃泡音の聴取を行い、挿入部位の確認をする。
【問題24】 輸液ポンプを50ml/時に設定し、500mlの輸液を午前10時から開始した。終了予定時刻はどれか。
正解 4
簡単な計算問題である。
- 午後2時
- 午後4時
- 午後6時
- 午後8時
- 1時間に50mlなので、500mlでは10時間かかる。午前10時の10時間後は、午後8時である。
【問題25】 ショックを起こした患者に最も適切な体位はどれか。
正解 3
脳への血流を確保するようにする。
- 腹臥位
- 頭部挙上
- 下肢挙上
- 出血性ショックの場合は、仰臥位で15〜30cmほど下肢を挙上する。
- 左側臥位